平和な朝
平和な朝
そのまま朝を迎えたが最後までゾンビが出てくることはなかった。
斥候も出したが敵と思われるような存在は見つからなかった。
そもそも“敵”がどんな相手なのかも分かっていないのに簡単に見つけられるわけがない。
女騎士様がやっぱり逃げたんだと散々当たり散らし、セレーネがそれを諫めようとするが余計に凄い剣幕になってしまう。
俺が間に入り、貴女の強さに恐れを成したのでしょうと適当に持ち上げてなんとか溜飲を下げさせた。
うーん、とりあえず後2,3日様子を見てから後のことは考えるか。
しかしだな……なんかこう、転生したらもっと派手に色々と事件があるもんじゃないのか?
凄い敵が出て来て、それをあっさりと倒して色んな人にチヤホヤされるってのが王道じゃないのかよ。
なのに何この状況。
ただの様子見って……あまりにも地味すぎる。
そりゃ確かに命のやりとりを積極的にしたいなんて思わないけどさ。
それにすっかり寝る時間もおかしくなってしまい、一度寝たはずなのに再度少し寝てしまい、昼頃に起きてしまった。
今は城門の櫓の上で魔物がいるって森の方を見ながら昼飯を食べていた。
「野菜って生じゃ食べないんだね」
「むしろ生で食べられるという感覚がわたくしには不思議でなりません」
この世界では食材を生で食べるというのはほとんどないらしい。
それに肉はかなり高価らしく、魚にいたってはほとんど食べる習慣がないらしい。
「だからって虫はちょっと俺的にはキツいかなぁ」
「わたくしも少々躊躇いますね」
この辺りでは肉類が高価なため、貴重なタンパク源として虫を食べる習慣があるらしい。
もちろん肉が手に入る貴族や王族はほとんど食べないみたいなので、それなりに食べたくないものではあるらしい。
俺は村人達からもらった食材で作った茶色いスープと固いパンを食べていた。
厨房に持っていったら適当に使って作ってくれたのだ。
「食材とか貰っている身で文句を言うのもどうかとは思うけど、さすがにそろそろ違う料理も食べてみたいな」
「わたくしも故郷の料理が恋しいです」
「どんな料理なの?」
「大きな野菜がいっぱい入ったシチューみたいな料理です」
「シチューがあるのか、いいね。是非俺も食べてみたい」
「シチューは元々勇者の一人が作った料理だと聞いています」
「なるほど、そのレシピが広まったのか」
「そのものを作るには材料が高かったり足りなかったりしたので、色々とアレンジされていますけどね」
「それはそれで面白そうだな。是非食べてみたい」
「でしたら食べに行ってみませんか?」
「いいね。でも行ってみたい場所がどんどん増えてくな」
「いいではありませんか」
「そうなると、この問題を早く終わらせたいよ」
「ですね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます