第139話 女神イリス
「イリス様、報告に上がりました。先ほど女神エレクトラの始末が完了したとの連絡が入りました。ただ、その、申し訳ありませんがあれに与えたスキルの回収に失敗しました。正確にはスキルが消失しました」
「そう、それは残念ね。これで邪魔者が一人いなくなった訳ね。うふふまあいい気味だわ。あのお高く止まった聖女が真逆の淫女になっていたのね。本来の性質に戻れずじまいで助かったわ。 まあ、天界に戻って現れる事がなくなりいい気味だこと。ころで次に現れた女神は誰なのかしら?」
「はい、どうやらアルテミスという名前らしいですが、名前に覚えはありますか?」
「おかしいわねアルテミスなんてそんな女神いたかしら?まあいいわ。私が知らない女神も何人かはいる筈だから。私が知らないという事は大した女神じゃないのね。まもなくよ。邪魔者も一人消えた事だし、さあいよいよ私達の力を見せる時がくるのよ。あなたも頑張りなさい」
「イリス様の御為に」
そんなやりとりがあった。実は女神との強制契約のスキルをグリードに与えたのはこの女神だ。因果律を捻じ曲げるその禁断のスキルを天界から盗み出し、自らの欲望の為に分け与えていた。皮肉なもので、捻じ曲がった因果律の影響を仕掛けた当人が受けている。その為、本来の目的が達成していないのであるが、達成していると思い込んでいる。
そして多くの者がとばっちりから混乱していて、歓楽街の復旧に努めていた。
晃達の方はアルテミスをギルドに連れて行っていた。そこで晃達はギルドにアルテミスを連れて行っていた。女神の名前を調べるもアルテミスという名前はないし、アルテミスの名前がエレクトラにすり替わっていた。仕方がないのでエレクトラの死亡を届け、代わりにアルテミスが顕現した事を伝えた。ギルドの一角には女神の名前が彫られた札が掛けられていて、団の名前も刻まれていた。札の文字がエレクトラだった。どういうわけか因果律が全て捻じ曲げられており、アルテミスという女神はこの地上に存在すらしていなかったかのようになっており、エレクトラの名前が刻まれていただけだ。かつてのアルテミスの名前を知る者はイザベラと晃が、ひょっとするとこのアルテミスが本来の姿に戻った時に記憶を宿している可能性はあるが、いても3人しかいない。あとは昏睡状態になっている大輔がどういう記憶を持っているか次第になっている。ケイトに確認するもやはり亡くなった女神はエレクトラだと言う。
イザベラがケイトに説明していたが、イザベラが嘘をつく恥がないとはわかっていても、記憶の中にあるのは全てエレクトラの名前で、アルテミスという名前を聞いた事がないと言う。アルテミスは天界でも一位二位を争う美貌を持つ清純な恋の女神であったのだ。
とりあえずエレクトラの団に入っていた者達は一旦イザベラが引き受ける事になり、事実上の最大の団に一気にのし上がっていった。
またガブリエルにイザベラがダンジョン内に連れ去られた時の事を聞いた事があるかと聞くと、噂では聞いたことがあると言う。おそらく犯人は死んだグリード団長なのであろうと、ガブリエルが言っていた。そうやはりここでも事実が捻じ曲げられている。ガブリエルは爽やか系のいい奴になっていた。それなりに遊び人で、遊郭にもございましたしばしば行き、遊女遊びをしていたと言う。
またエレクトラがガブリエルに命じたのではなく、アルテミスがガブリエルに命じてした数々の悪さは全てエレクトラが団長に対して命た事に化けていた。むしろ逆であった。団長がエレクトラを操っていたのはイザベラと晃の記憶以外は誰も知らない。記憶だけでなく、事実として実際そういう行動がとられている記録が残っていたりもする。色んな事が捻る曲げられているが、何故かイザベラと晃がだけがその捻じ曲げの影響を受けていないのだ。
イザベラと晃で話し合ったが、イザベラは自身の事を良くも悪くも普通の女神だと言う。もっとも元々過激な性格だった筈だが、なぜか晃と契約以降は落ち着いて丸くなっていると言っていた。心が穏やかで落ち着くのだと言う。以前はもっと怒りぽかった筈と言っていた。
アルテミスにしてもそうだ。確かに天界でその美しさは右に出る者がいないと言われており、かなり清楚な性格だった。真逆の性格の為か仲が良かったと言うが、彼女も含めてイザベラも多少スキルとか加護が強力なのを持ってはいるが、ただそれだけなのでわ因果律の変動の輪から外れているのは晃の影響だろうという結論に至った。
そして晃と契約しているイザベラがその恩恵を受けたのだと言うのであった。
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