第105話 救助要請
晃がイザベラ達の元を去った直後イザベラが
「あちゃーって、晃くんはやっぱり行っちゃったかー。全く晃くんは困ったもんだね。はぁ。晃君一人だと流石にまずいかなー。ねえレヴィちゃん、晃君の後を追って行けないかな?出来れば助っ人になってあげて欲しいんだよね」
レヴィは二つ返事で
「はい行きます」
神妙そうに言うが、顔が輝いてニコニコしている。
「そうだね、私の方はレオナ達3人がいれば大丈夫だから」
レヴィは頷きレオナの意味有りげな視線に気が付かず、直ぐに追いかけて行く。前方に晃の気配がするが、追って行っても差が縮まる所か広がる一方であった。魔石がそのまま残されているので晃が向かった方向がわかる。
レヴィは皆が魔物避けをかき集めて渡されていた。今から地上に戻る分は除いてあるので気兼ねなく使うようにと渡された。地上に戻ったらまた仕入れば良い物である。レヴィ小さな魔石は無視したが、レア物の魔石は回収して鞄の中に入れて行く。晃は猪突猛進して魔石を拾わずにひたすら下の階層を目指していたようである。レヴィが歩みを止めて魔石拾うのには理由がある。息が続かないから魔石を回収するという名の元に体を一旦休める為だ。
そしてイザベラサ達はレヴィを送り出した後、直ぐに行動を開始した。3人に守られながらイザベラは上に向かって行く。魔物には殆ど遭遇しない。中級者層に来る時にルート上の魔物は殆ど駆逐しているからであり、時折脇道等から通って来たルートに湧き出てくる魔物がいる位であった。時間が惜しいという事で小走りに駆けて行く。
そうして夕方位に地上に出る直前まで来ていた。
「イザベラ様、さあここを出ましょう!」
レオナが言うもイザベラは首を横に振る
「私がダンジョンを出て行くとね、次に入るのは厄介なの。だから私はここに残るね」
「私が一緒に残ります。女神様一人だと自らを守れませんから」
ソレイユの申し出にイザベラが頷く。ローラン達とグラッグこの3名でダンジョンを出てギルドに向かう事がになった。そして3人がダンジョンを出るとグラッドが雄叫びを上げた。
「よっしゃー!レベルが戻った!これで戦える。みんな待っていろ!」
ダンジョンに戻ろうとするので
「お前バカか?誰がギルドで救援要請をするんだ?それは俺達じゃなくてお前の役目だぞ!」
はっとなったグラッドが
「悪い」
一言言う。そして小走りに駆けて行ギルドに向かう。そしてギルドに着くとローランとレオナは六連星団と、バックヤード団の方に救援要請に向かうとして別れて行く。レオナが自分達の屋敷、ローランは大輔の方に向かう。そしてグラッグはギルドに救援要請だ。
夕型の為にかなり多くの冒険者が受付に列を作っている状況だ。ドラッグはロビーで土下座をし大声で叫び出した。
「みんなすまない緊急事態なんだ。俺達の女神が亡くなって、俺の仲間の団員が力を失い38階で死にかけているんだ。頼む救援隊を組織してくれ!手持ち無沙汰だったターニャが駆け寄って
「どういう事ですか?」
「六連星という団を率いる晃ってのがレヴィって冒険者と38階層に向かって行ったんだ。なあ、頼む緊急事態なんだ。それとターニャと言うアシスタントを探しさないとなんだ」
ターニャは慌てて顔が青ざめた。
「晃君がどうしたっていうんですか?私がターニャです」
「良かった。あんたがそうか。女神イザベラ様が誰かに攫われ、ダンジョン内に連れて行かれたんだ。そして20階層に放置されていたんだ。そこを晃が助けたんだが、丁度そこに俺達が38階層から救助を求めて上に上がっている最中に助けられたんだ。事情を聞いた彼は即38階層に向かって行ったよ。皆の制止を振り切ってな。レヴィってのにイザベラ様が後を負わせたんだ。そして俺達は救救助を要請しに来たんだ。イザベラ様はどうも何かのアイテムを持たされようで、ダンジョンに入れて、多分自由に出入りができるような物だったらしい。念の為にダンジョン内に留まっているが、ソレイユと言う女が護衛として付いている。ローランとレオナが六連星生とバックヤードという団のところに直接救助を要請しに行った。すまないが手続きをしてくれないか?」
ターニャは顔を真っ青にして更に震えていた
騒ぎを聞きつけたギルドマスターが出てきて大声で怒鳴り始めた
「全てのレベル5以上の者にコンタクトを取れ。それとダンジョンに入ってくれる女神を探せ!それとギルドにあるダンジョン突破アイテムを持って来い」
グラッグがギルドマスターに
「既にイザベラ様がダンジョン内にいるぜ。誰かに連れ去られ、おそらく始末させる為にダンジョンの奥深くに置いて来たっぽいが、たまたまファーストが助けたんだ。念の為今は1階層の入口の所で護衛の冒険者と一緒にいるよ。出た後再度入れるか怪しいと言ってた。何でも俺達の団の者がダンジョンを出るには女神と契約していないと結界に阻まれて出れないと言っていた。だから残っているんだ。すまねえ頼む!」
ブラックは必死に頭を下げお願いをするのであった。
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