第32話  祝勝会

 食堂の中に入ると大勢の闘士がいたが大体は女連れだ。

 大概の剣闘士は愛人兼身の回りの世話役の奴隷を連れている。座長の方針でより活躍させるには女を抱かせるのが一番で、身の回りの世話もさせれば良いと言う感じだそうだ。


 大輔に奴隷をあてがうのも戦いの後に滾った性欲のはけ口にさせる目的だった。ただ、大輔が要求した生娘は値段が高く、ケイトのような怪我による醜女や幼子位しか用意が出来ない。ただ、この世界は12歳で結婚できるので、ケイトは普通に性欲の捌け口にされる年齢扱いだった。座長は謝罪や言い訳が極端に嫌いだ。なので言ってしまった手前、本当に生娘を用意していたのだ。


 食事をし、飲みながらそんな話をしていた。食事は郷土料理や唐揚げが基本で脂っこいのが多い。


 大輔は座長と同じテーブルに座らされ、もうやったのかと聞かれ、ケイトも真っ赤だった。


「無理っすよ。起きたら直ぐに来いっていうから慌てて行ったんですよ」


「ああ、そうだったな。悪い悪い。ちゃんと一戦交えてからって言っとくんだったな。なあガラグ」


 分かっていて座長は言う。確信犯で反応を楽しんでいてガラグが


「そうですぜ、ボスの所為でこいつは童貞を卒業しそこねたんだから。がはははは」 


 周りの笑いが聞こえる。


「いや、童貞じゃないし、女に飢えとらんですよ。」


 大輔は強がって反論し、周りから袋叩きにあっていたりしていた。


 祝勝会とはいえただ飲んで食べての単なる飲み会だった。騒ぎたく、その理由が欲しいだけだったのだ。


 ただし大輔は酒に酔っていた。そして途中でトイレでケイトに背中を擦られていたのだ。


 何故かその間にお開きになっていて、皆居なくなっていた。ガラグだけは待っていてくれたが。


「お前酒飲めないのか。吐いていたようだが大丈夫か?」


「はい、酒は飲めるのですが、まだ体が回復していない所に脂っこいのを食べ過ぎて吐いた感じですから大丈夫です」


「明日はファイナルで俺が出る。お前はその前座だ。だから直前の面倒を見てやれんからな。嬢ちゃん、明日に備えて坊主の体を労ってやれ。今のままじゃ厳しいからな。また明日稽古付けてやるからな。死にたくなかったら今日は我慢してやるなよ」


 一勝以上した剣闘士は奴隷でも個室が与えられる。そう、ケイトとシングルベッド一つを使わないとだった。個室と言ってもかなり狭い。2.5m×1.5m位だ。ベッドと小さいテーブルと椅子があるだけだ。服と鎧等の装備を置くと身動きが取れない。ベッドの下に収納があり、ベッドの無い側の高い所に棚があるが、椅子に立たないとケイトには届かない。


「あの、ダイス様、服を脱いでうつ伏せになってください。」


 大輔は眠くてふらふらで言われるがままにうつ伏せになり、その上にケイトが跨り大輔は悲鳴を上げていた。


 腕と背筋が特にパンパンで、マッサージに悲鳴を上げていたのだ。


 そして体を拭いてもらい、ケイトも体を拭き終わると就寝になったが、問題があった。


 ケイトが床で寝ると言い出したのだ。奴隷は床で寝るか、ベッドで寝るのは夜伽の時だけらしい。


「襲わないから、一緒に寝よう。添い寝してくれよ。それに君10〜12歳だろ?そんな子供には興味ないから。俺はボンキュッぽんなお姉さんにしか興味がないし、君とそういう関係になるとしたら君が大人になる数年後だから心配しないで」


「はい。その、ダイス様なら大丈夫です。」


 意味深な発言だった。大輔は大丈夫の意味が、致す事なのか添い寝かわからなかったし会話が噛み合わなかった。


 とりあえず、ケイトを後ろから抱きつく形でベッドに入れる。


 ケイトの頭を撫でてやりうつらうつらし始める。


「あの、私ドキドキしているんです。やさしくしてくださいませ」


 大輔は眠くて仕方がなかった。子供とはいえ、人の温もりは良いなと思ってたが、強烈な眠気に勝てず眠りに落ちたのであった。

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