第20話  女神イザベラ

 晃は前日の事はすっかり忘れていて、今日こそはと決意を新たにギルド前に繰り出す。


 前日のように暴行こそ受けなかったが、やはり誰も見向きもしない。


 昼になり食事をしてダンジョンに行こうとしたが、移動しようとした所に誰かが服を引っ張る。


 辺りを見るが誰もいない。


「お主、契約をしたいなるか?未契約者なるな?」


 下から声がするので見ると幼稚園児位の子供がそこにいた。小汚い格好でしかも裸足。見た目もそばかすが酷く醜女だ。しかし晃は只者じゃない、見た目と違う存在だと直感したが


「えっと、そうだけど、貴女はどちら様で?」


「そなたには我が何だと見えるなるか?いや思うなるか?」


「うーん。見た目は幼稚園児かな。でも魂が違うって言うのかな。この世の理から外れた存在?貴女は亜人を含めた人ではないですよね?」


「ほう、我の本質を見抜くなるか。よかろう、主と契約してやるなる」


「あっ、やっぱり女神様なんですね!いいんですか?さっきから僕が皆に断られているの見てたでしょ?」


「うむ。一生懸命に頼んでいたなるな。うむ。主にこそ可能性を見いだせる気がするなるから、主が良いなる。我を開放するなるなる」


「えっとここじゃ流石にまずいよね」


「うむ。契約後、我の本来の姿になるなるよ。流石に我の裸を衆人に晒す気は無いなるよ。どこかないなるか?」


「じゃあ、宿の部屋はどうですか?」


「よいなるな。その前にある程度服を買って欲しいなる。どんな身長になる分からないなるから。お主位からお主より背の高い者が着れるのを一着は買わねば我が外を歩けないなる」

 

 変な口調だがスルーした。

 裸足なのでしゃがんで背中を差し出すと理解したようでだまっておぶされていた。


「うんうん。良い心掛けなる!」


そうやっておんぶして服屋で大人用のワンピースと少女用のを買いに来た。

 店主に事情を説明すると畏まりながら3サイズ分の服と履物を3サイズ分買う。


 早速宿に行き追加で一人分を払う。女神と分かると女神の分は半額だった。


 契約に際して晃が名前を伝えるが、この女神は契約するまで名前が出て来ないという。記憶が曖昧だった。契約して成長したら思い出すが、外観は最初の契約者の性分や能力に影響される。晃の年齢に合わせた外観になる可能性が高いという。つまり少女だ。もし晃が大人なら大人になるという。


 話を聞くと前日に顕現し、昨夜は空き家で過した。晃がボコボコにされているのを見ていて、止めに入ろうとしたが誰かに先を越され、気が付けば晃がいなくなっていたというのだ。


 女神も最初に契約する相手は慎重になるという。


 お腹が減ったと言うので食堂で日替わりを頼んだ。


 次に体を綺麗にしたいというので風呂に行く。まだ早く誰もいないので、さっと洗ってあげた。服は先程買った小綺麗なのを着せている。妹の風呂の世話をしている感じだ。


 念の為スマホで写真を撮る。勿論服を着てからだ。


 部屋に戻ると早速契約が始まった。やり方は風呂で聞いていたが簡単だ。


 女神が契約の儀式を開始すると魔法陣が浮き上がり、女神の指示で手を重ねる。

 そうして雰囲気の少し変わった女神が


「晃よ我と契を交わすに際しての告知事項になるなるが、我が死すか、主が死すまで契約解除は叶わぬなる。承知するなら反対の手を握るなる。うむ。では契約成立なる!」


 二人が光り輝き、やがて光が消えた。すると女神が大きくなり始め、顔つきも変わってきた。胸も膨らんできた。


 そこには妖艶な女性がいた。服は成長に耐えられず破れて裸だ。二人共子供の服だと大きくなると破れるのを忘れていたのだ。


 身長は晃より少しだけ大きい。この世界の女性の平均より少し上だ。

 そしてすらっといているが、出る所は出ているナイスバディで、晃は初めて女性の裸、特に胸を生で見て鼻血を出して倒れた。

 女神も全裸を見られた恥ずかしさから必死に胸と股間を隠し後ろを向く。


「し、しまった。よくよく考えれば当たり前の事じゃないか。私は馬鹿だったよ!あ、晃君、み、見た?」


「ごめんなさい。ごめんなさい。見ちゃいました。」


「わ、忘れるのだ!良いな?」


「む、無理です!こんな綺麗な胸を見て忘れるなんて。それよりこれを着てください」


 そうやって服を渡すが、受け渡しの時にまたもや胸が見えてしまい、慌てて後ろを向く。

 女神も恥ずかしそうにくねくねしながら服を着た。


 背中までの見事な金髪のストレートで、顔つきは少し幼い。15.6くらいだろうか。だが、体は大人の妖艶なボディーだ。年齢と体は18歳位なのだが、いかんせん顔が幼く見た感じアンバランスなのが否めないがある意味最凶だ。ただ、晃の年齢からは歳上に見えていた。世の中から見れば中高生位の少女だ。つまり晃の年齢相応の少女なのだ。体がナイスバディなのは晃の潜在能力の表れで、分かる者が見れば契約者の能力が只者では無いと予測できた。


「もう大丈夫だよ。晃くん。改めて宜しく頼むよ!私の晃くん。私はねイザベラっていうんだ。君は時空間を司る主神からも加護を得ているようだね。私は愛と美の女神と言いたいけど、無慈悲の裁きの女神さフフフ頼りにしてるよ!」


 不敵な笑みを浮かべるイザベラに晃はクラクラした。魅惑的な外観だからだ。


 晃は改めて女神イザベラに向き合う。パーフェクトボディーにロリコン受けしそうな顔つきの女神だが、晃には大人の女性に十分見えた。表情を変えると妖艶な大人の女性にも見えるのでどぎまぎしっぱなしだ。


「め、女神イザベラ様!駆け出しですが宜しくお願いゅ!」


慌てて舌を噛んでいた。


「うん。素直で宜しい。所で私はどんな姿なのかな?」


 晃はスマホを取り出して不思議そうにしているイザベラの全身を撮り、画面を見せる。


「ほうほう。これはまた。晃くんは異世界人なのだね?」


「あっ、やっぱりわかっちゃいますか?」


「うん。これはこの世界の文明レベルではないからね。それよりも契約と開放で体力を使い果たし疲れたよ。もう先に寝させて貰うよ」


 晃はイザベラにベッドに引きずり込まれた。


「ねえ、君から少し体力を分けて欲しいから後ろから抱きついて寝て欲しいんだ。ね。」


「だ、駄目です。女の人と一緒に寝た事なんてありません!それに女性とそう言う事をした事が無くて、あの、その、しかも女神様とだなんて。間違いが起こったらどうするんですか?」


「君を信じているよ。それに君にならまあ良いよ。好みの顔だし、優しいし。ってごめんよ。もう体力の限界が来たよ。先に寝るから。初契約時に女神が純潔を散らされる事はよくある事だから覚悟はしているよ・・・」


 というと話しながら寝てしまった。

 晃はドキドキしながらイザベラに抱きついた。柔らかな体は温かく心地良い。


 胸が気になって仕方がなかったが、信じて体を預けた女性に性的な事をするなんて考えられなかった。ただ、人じゃないけど人の温もりは良いなあと、晃もウトウトしていた。


 1時間位だろうか、体力が回復したとなんとなく分かり、ベッドを出る。


 破れた服を整理しゴミ箱に捨てた。


 イザベラは寝言を言い布団がずれていた。晃は布団を直しイザベラの頭を撫でる。やはり胸元が気になる。見事な谷間がチェリーには刺激が強かった。


「宜しくね僕の女神様。チュッ」 


 晃はイザベラのおでこにキスをして机に座るのであった。

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