平穏は破れ、争いの鐘が鳴る


 魔都 魔王城


 今日も十二魔将会談がいつもの様に行われていた。


「では十二魔将からの報告は全て完了しました。最後に魔王様から一言お願いします」


 魔王から返事は無く、沈黙していた。


「? 魔王様?」

「ティターニア、フェニーチェ、何か言い忘れている事は無いか?」


 指摘されたティターニア達はそれぞれ反応する。


「いえ、その、魔王様に直接お聞きしていいものか……」

「やはり隠していたな魔王! 俺の読みは当たっていたようだな!」


 フェニーチェは勢いよく席から立ち上がる。


「隠しているのは魔王、お前であろう!! 天才の俺には分かっているぞぐはあ?!!」


 過ぎた発言と見なされ、アギパンとヴァンダルから攻撃を貰う。


「憶測で語るでないぞフェニーチェ」

「そうだぜ。……まあ薄々感づいていたが」


 魔王は玉座から立ち上がる。


「よい。フェニーチェ以外にも気付いているのならこれ以上隠していても無意味だ」

「では、やはり」

「そうだ。時期はハッキリしていないが確実にその気配が増している」


 この時点で何の話をしているのか分かっているのは、アギパン、ヴァンダル、フェニーチェ、ティターニアの4名。それ以外の十二魔将はまだ話が読めていなかった。


「前回の物とは規模は小さいだろうが、間違いなく激しい戦いになるだろう」

「あの、魔王様。一体何の話です?」


 たまらずラディオンが質問する。



「……1500年前、お前たちが生まれるずっと前に起こった戦争、『勇魔大戦』。その再来が起ころうとしている」


 

 魔王の発言にラディオン達がざわついた。



 1000人にも上る大量の転移者が魔族領に戦争を仕掛けた大乱。


 エルフ族の年長者達の集まり『元老院』がいまだに人族に心を開いていない大きな理由でもあり、魔族の思想の一つ『人族迫害主義』を生んだ原因でもある。


 結果だけ言えば魔族の勝利だったが、その間に魔族側も甚大な被害を受けた。その記録は今でも鮮明に残っている。大戦の再来となれば、また大きな被害が出る可能性が高い。


 それをよく知っているからこそ、内心穏やかではなくなるのだ。



 魔王は背中のマントを翻した。



「臆する事は無い。我ら魔族、この魔王がいる限り二度とあの時の様な被害を出さないと誓おう」



 力強い発言には、強固な自信と、絶対的な確信があった。



「そのためにも、お前たち十二魔将の力を貸してもらう。共に魔族領を守るぞ」


 十二魔将達は、魔王の言葉に忠誠の姿勢を取った。


「「「「「「「「「「「「仰せのままに、魔王様!」」」」」」」」」」」」


 魔王は改めて手を差し、十二魔将達に告げる。



「これより王命を下す! 異世界からの侵略に備え、勝利せよ!! 誰も欠けることは許さぬ!!」



 十二魔将達は姿勢を正し、忠誠を持って魔王に答えた。



「「「「「「「「「「「「承りました、魔王様!!」」」」」」」」」」」」


 ・・・・・・



 平穏の日々は幕を閉じた。


 これより先は、異世界からの侵略者との戦いが始まる。


 

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