第2話戦い前夜

「大丈夫か、龍生」

大婆だいばあ!」

大婆が咄嗟に蛇に姿を変えた人形を放ったのだ。ちなみに人形とは陰陽師が念を込めると様々な形に変化できる紙の事である。大婆は龍生の祖母であり、龍生の前の凄腕の正当後継者である。

「我が大和家に危機が訪れた。緊急会議を始める」


大和家には母屋と離れがあり、基本家族会議をする時は離れで行っている。大婆が上座に座り、下座に龍生、お父さん、お母さん、姉のひびきが座っている。最も龍生以外の家族は陰陽師だの正当後継者などには全く興味がなく、姉のひびきなんかスマホをいじっている。お父さんなんか、

「大婆様、明日プレゼンがあるので会議を辞退していいですか?」

と進言したが、

「ならぬ」

と一蹴されていた。

「かつて平安時代に安倍晴明という陰陽師がいた。」

大婆が重い口を開いた。

「そしてそれは現代たくさんの流派に分かれた。無論大和家も同じ」

「そこで龍生、お前にはあの男と戦えるようにわしが鍛える。良いな?」

「いや大婆、僕も期末試験が

「黙れ!」

龍生は押し黙った。

「てかさー。龍生が正当後継者なんでしょう。龍生が全部やればいいじゃん」

本当に憎たらしい姉だ。

「ではこれをもって解散とする」


それから特訓は大変だった。毎日座禅と瞑想をさせられた。少しでも動くと大婆に殴られた。そして、大婆の繰り出す人形と戦い、龍生自身も人形の出し方、技の出し方等を教わった。大婆の繰り出す人形はどれも強敵で最初の頃は歯がまるで立たなかった。そうして氷の人形の出し方をマスターすることができ、人形とも互角に戦えるようになった。

「これにて、特訓は終わりじゃ」

大婆は深く頷いた。

「この前のやつに勝てるかどうかはわからんがまあ互角には戦えるじゃろ」その間期末試験があったが、結果は聞かないでほしい。

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