第101話 些細な事ではないと思うがの
「色々あって遅くなっちまっただな」
夕飯の時間には帰ると言ってあったのだが、とうに夕飯時は過ぎて、就寝の時間に近い。
ヨコヅナはロード会の事務所を出て、帰路へ着いていた。
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ロード会での採用試験後に、
「さてと、この結果を見ても、オリアはボーヤを雇うことに反対かい?」
「それは……頼もしいのはわかったけど、ヨコは良いの?」
「……どうするべかな」
「…金なら十分な額を用意せてもらうよ」
「そこはどうでもいいだ……オラはこれでも忙しいからあまり時間が取れないだよ」
「悩んでるのはそれかい。守る為と言っても、別に警備兵のようにずっと居る必要はないよ。要はウチに戦力があると思わせて手出し出来なくする事が目的だからね、必要な時だけ協力してくれたらいいさ」
「そうなんだべか………返答は後日で良いだか?オラ一人で決めるわけにはいかないだよ」
「構わないよ、まぁ前向きに検討しておくれ。…今日のことで心配になっただろうから、オリアには普段からエフを護衛としてつかせるよ」
「任せるっす!」
「お願いするだ。それじゃオリア姉、オラはそろそろ帰るだ」
「遅くまでごめんね。またねヨコ」
という会話でがあり、ロード会に入るかはラビス達に相談してから、返事をすることにいしたヨコヅナ。
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ヨコヅナがハイネの屋敷の前に到着するとそこには、
「お帰りなさいませ、ヨコヅナ様。随分と遅くまでデートを楽しまれたようですね」
門の前でラビスがヨコヅナの帰りを出迎えた。
「どうしただラビス?こんな時間まで…」
いつもならラビスは帰っている時間だ。ヨコヅナは今日一日を休みにしたから、待っている必要もないはず。
いつもの貼り付けた笑顔に、いつもの皮肉混じりの言葉。しかしヨコヅナにはいつもと違って見えた。
「何かあっただか?」
様子が違うラビスを見て、問題でも発生したのかと思ったヨコヅナだったが、
「ラビスさんは帰りが遅いヨコヅナ様を、心配して待っておられたのです。何か事件に巻き込まれたのではと」
一緒に門前に居た、ハイネの屋敷の守衛が説明する。
「そうだったべか、遅くなってごめんだべ」
「ヨコヅナ様の心配などしていません。勝手な解釈をしないでください」
守衛を睨み付けるラビス。
だが守衛としては、寒いのに屋敷の中で待たず、わざわざ門前でこんな時間まで待っていたのをずっと見ていたので、他に解釈のしようがないのだが。
「待っていたのは、ヨコヅナ様に仕事のことで相談があったからです」
「やっぱり急ぎの用があっただか?」
「いえ、別に明日でも問題ないことですが…」
では何で遅くまで待ってたんだ、とツッコミたい守衛だが、ラビスを怒らすのが怖いのでやめておく。
「まぁ、オラもラビスに相談したいことがあるから、丁度良かっただ」
「……もし、恋愛相談とかでしたら他をあたってください」
「ははは、違うだよ……寒いから詳しいことは中で話すだ」
ヨコヅナは笑顔の視線を守衛に送り、守衛もどうぞどうぞと門を開けて笑顔を返す。
ラビスの返事は聞かず屋敷へと向かうヨコヅナ。
ついてきて横に並んだラビスに、
「ラビスはロード会って知ってるだか?」
ヨコヅナは守衛を少し気にしながら小声で、しかし先程までの笑顔を消し真剣な表情で質問する。
「ロード会……まさか!?デルファ・ロードですか?」
「知ってただか、有名なんだべか?」
「その筋では、と言ったところです。ですが何故ヨコヅナ様がそんな…」
ラビスは言いかけた質問を止めて、今日偶然出会ったヨコヅナと一緒にいたオリアの事を思い出す、正確には混血の証である尖った耳を…
「オリア姉の勤め先が、ロード会なんだべ」
質問は途中で止めたが、ヨコヅナは察して答えてくれる。
混血の姉貴分+混血が多く所属しているグレーな組織の名+帰りが遅かったヨコヅナ(しかも額が少し赤く腫れている)=
「……確かに詳しく話を聞く必要がありそうですね」
「遅いのに悪いだな」
「構いませんよ。ヨコヅナ様がバカなのは知っていますから」
明らかな厄介事の相談なのに、何故かラビスの表情が先ほどまでより明るい。
「ラビスの方の相談ってなんだべ?」
「………ヨコヅナ様の相談が
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