最終回 俺はもう、父親だからな・・・

ジーザスエンドが着陸する、月の表面上は、膨大な空気で溢れかえっていた。


風の能力者、辻山憂歌が、月面上を呼吸可能にしていたのである。


その中で、変身を解除した辻山憂歌は、全裸の的場ジェイジェイを抱きしめ、涙していた。


ジーザスエンドから降りてくる、多数の戦士たち。


藤村岬・海津丈・名護龍樹・吉崎巧・森山純・藤村省吾・島村美咲・島村美幸・緒島剛・・・、そしてレイン=小林雪。


憂歌「カイが・・・。俺の息子が・・・。時空の彼方へ消えてしまった・・・」


純「カイは、ジーンたちの残留思念もろとも、フルオッグと共に・・・!?」


レイン「自爆したのね・・・。たしかに今、宇宙の彼方から、フルオッグの波動は感じない・・・」


緒島「吉崎。こんな時になんだが言うことがある。お前の身体にはフルオッグシードはない」


安堵の表情を見せる吉崎巧。


海津丈は、島村美幸を抱きしめ、涙を見せていた。


丈「みゆき! みゆき! わしのためによみがえってくれたんかいな!?」


見つめ合う、名護龍樹と島村美咲の、愛の確認。


それでも泣き止まない辻山憂歌に、森山純とレインは歩み寄り、肩を叩いた。


純「カイは、今、私の胎内にいます。この歳で出産なんて、ちょっと背伸びだけど」


レイン「あなたの息子は、宇宙を救ったのです。息子を誇りに思えませんか?」


目を覚ました的場ジェイジェイは、自分が全裸であることをひどく恥ずかしがった。


藤村岬は、自分のブラウスをジェイジェイに着せ、ブラジャー姿となった。


タバコに火を点ける藤村岬。


岬「勝利のタバコは一味違う。月で吸うっていうのも一興。みんな一安心だね」


辻山憂歌は、森山純のお腹をなでながら、嗚咽をこらえていた。


憂歌「カイ・・・。お前は宇宙一の、俺の自慢の息子だ・・・」


藤村省吾は、咳払いをひとつ。


省吾「みんな。KARASUMAという脅威を、忘れてはいないかね・・・」


戦士たち全員が、藤村省吾に注目する。


緒島「みゆきよ。どうせ俺たちは残留思念の産物だ。KARASUMAに寝返るってのも、悪くない話だぜ・・・」


美幸=みゆき「でも、私たちにはシードがない。なんの能力もない、幽霊みたいなもんじゃないか? KARASUMAの実態を偵察するくらいならできそうだけど?」


岬「脅威ならもうひとつあるよ・・・」


タバコをふかしながら岬は、純のお腹を睨んだ。


岬「フルオッグの遺伝子なら、純ちゃんの胎内にあるじゃないか?」


吉崎巧は、藤村岬を見据える。


巧「確かに・・・。私たちの味方になってくれたのは、成人済みのカイだ。今我が妹の胎内にいるカイは、どういう育ち方をするか、どんな考えを持つかは分からない」


涙を拭いた辻山憂歌は、しっかりと立ち上がった。


憂歌「俺が責任を持つ。俺がしっかり育てる。この胎児カイを邪悪にはさせない!」


憂歌の表情には、もう青年のような、ある種のあどけなさはなかった。


憂歌「俺はもう、父親だからな・・・」


戦士たちは、かつてのように、月の地平線から昇る地球を見つめていた・・・。


【この、戦士たちの勝利の会話を、ジーザスエンドの通信機能から傍受していた存在が、ニヤリとほくそ笑む】


【たとえ、パトスを失っていたとはいえ、丈と岬はセックスの上、中出ししていたことを忘れているな? 能力者同士の子供は、フルオッグの遺伝子を受け継ぐというのに・・・】


【謎の存在は、KARASUMA のロゴの入ったノートパソコンを閉じた・・・】

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