愛を知った男! そして愛を知らない男!!

サンパウロ豪邸の地下、時の牢獄で「父と息子」は涙していた。


フルオッグ生命体、カイと、その父、辻山憂歌。


「こんな悪魔のような存在である俺を産んだ、お前と森山純が悪いんだ・・・。父さん・・・。この俺の悪夢のような30年の気持ちが分かるか?」


辻山憂歌は、フルオッグ生命体カイを抱きしめた。


憂歌の身体は、カイの身体の熱で、低温やけどを始めている。


「カイ・・・。すまない・・・。さぞかし辛かっただろう・・・。でもお前は、俺と純ちゃんの息子・・・。まぎれもなく、俺と純ちゃんとの、愛の結晶だ・・・」


「・・・!? 父さん!?」


「お前がフルオッグ生命体であろうとなかろうと、俺は息子であるお前を愛する!」


辻山憂歌の、父としての愛が、今まさに、息子カイの私怨を溶解しようとしていた。


「父さん、もし今の言葉に嘘がないとするならば、落ち着いて、30年後の未来について聞いてほしい・・・」


「30年後・・・」


「この先の未来の話・・・。地球は滅び、フルオッグは全宇宙を支配し、生き残るのはフルオッグ生命体の俺だけなんだ・・・」


カイの言葉に、辻山憂歌は驚愕した。


「じゃあ、チームBURSTやジーザスエンドは、フルオッグに敗北したのか!?」


カイは、辻山憂歌と離れ、涙を拭く。


「孤独だった・・・。フルオッグの支配した、荒涼たる宇宙の中で俺は、ひとりぼっちだったんだ・・・。そこにKARASUMAからの誘いがあったんだ・・・」


「カイ・・・。お前の父である俺に、今何ができるか、やっと分かったよ・・・」


辻山憂歌はNEXTベルトを発動させ、ナノNEXTスーツを装着する。


「俺は今、時空を切り裂く力を手に入れている。お前の母である森山純もまた、フルオッグシードに精神を支配され、苦しんでいる・・・。愛する女性と、愛する息子を同時に助けるには、今からフルオッグのところまで翔んで、フルオッグを倒すしかない・・・」


「無茶だよ父さん!? フルオッグは父さんが敵う相手じゃない!!」


【そうだ辻山! 貴様にはその仕事は似合わん! 代わりに俺がやる!!】


時の牢獄に、光の属性スーツを身にまとった森山純を抱いた、ハイパーダークナイト「吉崎巧」が現れた。


「・・・! 吉崎さん!? 純!?」


吉崎の腕の中で、森山純は意識を回復した。


「カイ・・・。憂歌さん・・・。私は善と悪の心の間で気づきました。私たちの”愛”の力さえあれば、必ずフルオッグは倒せるはずだと・・・」


光のスーツをまとった森山純を、カイは神々しく見つめていた。


「どういうことだい、母さん・・・!?」


「兄さん、憂歌さん、カイ・・・。私が胎内の中のフルオッグシードの力によって宇宙の彼方に翔び、フルオッグを倒します・・・」


ハイパーダークナイト、吉崎巧が叫ぶ。


「いい加減にしないか! お前たち! ここは最年長の私に任せろ! このハイパーダークスーツにも瞬間移動の能力がある! 私がフルオッグのところまで翔び、フルオッグを倒す!」


「やめてくれ! 父さん! 母さん! 吉崎さん! フルオッグに対抗できるのは、同じフルオッグである俺だけだ!! 俺が犠牲になればそれでいい!!」


時の牢獄は混乱状態、辻山憂歌と森山純、吉崎巧とカイの、【誰が犠牲になってフルオッグを倒すか会議】状態となった。


【お楽しみのところすまないなぁ・・・。偽りの愛を語る偽善者たちよ・・・】


サンパウロ郊外に到着した超巨大ロボット、ジーザスエンドの戦闘ブリッジから、的場ジーンの声が響いた。


【カイ・・・。貴様の力があれば、私、ジーン・ハートロッカーは再び世界をこの手につかむことができる・・・ 私に手を貸せ、哀れな迷える子羊よ・・・】


辻山憂歌、森山純、吉崎巧は驚愕した。


「ジーン・ハートロッカーが復活しただと!?」


ジーザスエンドは、キャサリン・オゼの豪邸を踏み潰した。


ジーザスエンドの戦闘ブリッジでは、島村美咲が「的場ジーン」に叫ぶ。


「自分の娘を人質に取るなんて・・・。あなたはそれでも人間ですか!?」


損壊する時の牢獄の中で、憂歌・純・巧・カイは、ガレキに埋もれようとしていた。


【果たして、この地球存亡の危機に、レイン=小林雪は間に合うのか!? レイン! 君こそが地球人類最後の希望だ!!】

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