その男、軟弱につき

衛星軌道上に待機する、超古代文明の遺産、対フルオッグ用最終兵器「ジーザスエンド」。


そのキールームにて、祈りを捧げるひとりの小学生の女の子。


ネクストタイプ、無の属性の守護者、ジーン・ハートロッカーを父に持ち。

ネクストタイプ、魂の属性の守護者、レインこと小林雪を母に持つ女の子。


「的場ジェイジェイ」は、フルオッグの波動から地球圏を守り、同時に、地球における、魔獣「ビスコム」や、人間の心を残した魔獣「ハーフビスコム」、更には対ビスコム用軍事アンドロイド「バーガリー」たちの暴走を抑制していた。


それをジーザスエンドの戦闘ブリッジのモニターで見つめるのは、藤村長官から「ジーザスエンド司令官」の座を命じられた、島村美咲。


ショートカットで童顔のメガネっ娘、美咲は、その戦闘ブリッジの片隅で、三角座りをしている「辻山憂歌」に苛ついていた。


「ジェイジェイ? 体力は持つ?」


「美咲お姉さん、私は大丈夫です、それより憂歌さんは?」


美咲は、辻山憂歌に歩み寄り、その胸ぐらをつかみ、憂歌にビンタをくらわせた。


「全人類の唯一の希望の光が、何をウジウジしているんです! 岬さんも、海津さんも、名護くんも、能力を失ってもナノBURSTスーツで出動しているんですよ! 名護くんなんか、能力を失ったせいで、スーツを着用しなければ、歩くこともままならないんです!!」


赤くなった頬を、憂歌は押さえた。


「レインも・・・。純ちゃんも・・・。俺が愛した女性は・・・。みんな居なくなってしまう・・・」


美咲はもう一発、憂歌にビンタをくらわせた。


「だからこそ今、あなたが立ち上がる時でしょう!?」


憂歌は、鼻から鼻水が落ちるほど泣き始めた。


「いったい俺に何ができるっていうんだよ!?」


憂歌に踵を返した美咲は、モニターに映し出されたジェイジェイに話しかける。


「ジェイジェイ? 純ちゃんの波動は感じない? もしくはお母さんの?」


キールームの的場ジェイジェイは、祈りから眼を開いた。


「たぶん母は、外宇宙にいると思います。純さんのパトスはいまだ感じられません」


ジェイジェイは再び眼を閉じ、祈り始める。


「ただあの、カイっていうジャーナリストさんの波動は感じます。あの人は、この衛星軌道上のジーザスエンドから”自力で”地球に戻りました。普通の人間ではないと思います・・・」


ため息をつく美咲。


「今フルオッグの波動が強まったとしたら、私たちなんかひとたまりもない・・・。それに、あのカイって男・・・。ヤツの狙いはいったいなんなの?」


戦闘ブリッジの床に突っ伏した、「地球最強にして地球最弱の男」辻山憂歌は、ただただ、こぼれ落ちる涙を拭くこともしなかった。


「レイン・・・。純・・・。」


【全人類唯一の希望の光 辻山憂歌に 果たして復活の時は来るのか・・・】

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