概要
奇跡的に生き残った16歳の少女・比良坂杏珠は、騙されて国境警備隊に就職した渡辺真衣香に救われる。誰が撃ったのか聞き出そうとする中国政府や日本政府の役人たちの前で、杏珠は『復讐』を宣言する。
砂漠のエキスパート・安に指導を受け狙撃や潜伏方法をマスターし、最終試験に合格した杏珠は『復讐』がこんな世界に生き残らされた自分の復讐であると告げる。
はたして、杏珠の復讐は叶うのか? 〝カンダタ〟の正体は?
生と死をつなぐ細い蜘蛛の糸につながれた、命の価値を問うた問題作……のつもりで書きました。
別の小説投稿サイトに、某国小説コンテストの為に掲載してい
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!描かれているのは近未来? いや、もはや今でしょう!
ヒト・モノ・カネの動きが留まるところを知らないグローバル化の行きつく先を描いた近未来のディストピア物語……というのが読み始めの印象でした。
しかし、これまで難民受け入れに寛容だった欧州各国が軒並み中東アフリカからの難民受け入れ拒否を打ち出し始めた昨今の報道を見ると、国境警備のスナイパーが難民を射殺し始めるのも時間の問題ように思えてきます。いや、すでに始まっている出来事なのかも?
3年前に書かれた作品ということですが、まさに時代の先を見通した視点……この世はどこに行っても所詮は地獄。楽園は死後の世界にしかない……そんな救いようのない世界が、我々の前に現れつつあることを示された気がします。
さり…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この作品を通して見る世界
世界では様々な問題が発生し、何人もの人々がそれらをニュースや新聞など傍観者として見ている中で、この作品はより近く、より詳しく見ることができます。
世界に存在する不条理な現実。それらを筆者様の巧みな描写で描き出された作品。
とにかく場面に応じての書き込みがすごく、自分は見たこともない光景であるはずなのに頭の中で文字から生まれたイメージを組み合わせて、自然とそれを想像できるようでした。
特に銃への描写、こだわりにはすごいものを感じます。
特に好きな部分は「第27話・襲撃」
様々な人物にカメラのスポットが入れ替わり、登場人物それぞれの思考などが会話や行動で対比的に描かれている。素晴らしい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!三人の女たちが映す未来世界は、すぐそこまで迫っているのかもしれない。
人類が抱えた問題を多くの国で共有する、グローバルな現代社会。各国の指導者たちの決断次第で、世界の流れは良い方にも悪い方にも変わるのだと━━たとえば命の価値さえも決まってしまうのだと━━そんなことを苦しいぐらいに考えさせられた作品でした。
全編を通して描かれているのは、難民のいる風景世界。寄る辺のひとつも見出せない、どこまでもどこまでも渇いた砂漠が広がっているような、そんな苦しくも厳しい世界に立つのは、三人の女。
皆殺しにされる運命からなぜか見放され、一人生き残った少女、杏珠。
信頼していた友人に裏切られ、国境警備隊に放り込まれた真衣香。
砂漠のエキスパートでもある、凄腕スナイパ…続きを読む