第54話、ゴールデンタピータイガーはきれいだ
本日1話目です。20:06に第二話投稿予定です
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ケビンにスキル設定ができたことを報告し、ケビンのラブラドールレトリーバーとうちのオセロットにもスキルを設定する。
ラブラドールは城の中を自由に歩き回るようなったが、これって城で飼うのと何か違うんだろうか…
オセロットにはフォレという名前をつけてタイガ・シズクと同様に家のことを頼んでおく。
浅見からカスタードクリームの作り方を聞いたので、さっそく試してみる。
卵黄と卵を混ぜ、そこに薄力粉を混ぜて最後に温めた牛乳を加えてさらに過熱する。
これで完成だ。
あとは好みに応じてバニラエッセンスを加えて冷やせばいい。
これも菓子職人に伝授する。
当然エジプトにもっていき、パンに入れてビビに食べさせる。
うっとりした顔を見れば効果は一目瞭然だ。
だが、第4世界のエジプトにはニワトリがいない。
牛もいないから牛乳は無理だ。
ヤギの乳で代用できるんだろうか…
また、ユーフラシアのように遠大な計画を立てなければいけないのだろうか、悩むところだ。
ニワトリの原種は、アジアに生息するセキショクヤケイという鳥らしいのだが、当然野生のものは繁殖期にしか卵を産まない。
長い年月をかけて今日のニワトリが存在するのだ。
これでは遠大どころか、俺の生きている間には無理だろう。
となると。ニワトリを持ち込む選択肢しかない。
牛の原種といわれるオーロックスはいる。
だが、ホルスタインみたいに乳を出すのだろうか…、これもアメリカから導入したほうが早そうだ。
だが、そんな産業に手を出せる人数がいない…
というか、エジプトみたいに暑い国でホルスタインは無理だ。
第4世界は、最北で揚子江になる。
せめてモンゴルに人類が残っていてくれれば…
第4世界人の根性なし…
「ビビ、オーロックスって乳を出すのか?」
「子を産んだオーロックスは乳を出すぞ」
「そのカスタードクリームを作るには、オーロックスの乳が必要なんだが」
「では、オーロックスを集めてこさせよう」
「それしかないよな…
あとは卵なんだが」
「タマゴならダチョウがいるではないか」
「ダチョウのタマゴは繁殖期でないと産まないだろう」
「当然ではないか。年中盛っているのは人間くらいじゃ。
どうした、さっきから乳とかタマゴとか。
まさか、わらわの体を…ダメじゃ、婚姻までは操を守るぞ」
「そうじゃねえよ。
しょうがねえ、またニワトリから始めるか」
だが、前と違って今は1000羽でも購入できる。
だが、クリーンの魔法がないから手がかかる…
しょうがねえ、この世界に魔法を持ち込むか。
すでに、ビビには防御系の魔法は付与してある。
だが、やはり魔道具に頼ることにした。
200m×100mのエリアを石塀で囲み、100cm分の砂を出す、そこに吸水性ポリマーを5cm分撒き下の砂と混ぜる。
吸水性ポリマーとは紙おむつなどに使われる吸水剤だ。
その上に針葉樹の枯葉を30cmの厚さで乗せ、最後に土を入れる。
野草の種を撒き、しばらく放置する。
空気中から水分を集め、霧状に散布する魔道具を設置して完成だ。
あとは、鶏舎を作って日に2回クリーンの魔法を放つ魔道具を設置して、鳥を500羽放し飼いにする。
周囲にいたチーター5頭を慣らしてスキルを付与し、周辺の警戒を任せる。
同じように1km四方を塀で囲み、吸水性ポリマーと枯れ針葉樹でオーレックスの牧場を作る。
とりあえず100頭ばかり瞬間移動で連れてきた。
さて、俺はこの世界でベンガルトラの変異種ホワイトタイガーのオスとゴールデンタピータイガーのメスを捕獲した。
この二頭にスキルを設定してビビにプレゼントした。
「こんな綺麗なトラがいるとは…」
ビビの小麦色の肌にとてもよく似合う二匹だ。
特にゴールデンタピータイガーは本当に見事な金色で、惚れ惚れしてしまう。
「わらわが名付けてよいのか」
「お前のために捕獲した二頭だ。好きな名前をつけろ」
「そんな事を言っても、婚前交渉はなしじゃぞ」
「あのなあ、俺には4人の嫁と、マーメイドがいるから、そういうのは無くても大丈夫なの」
「じゃあ、白いのはバブルで、金色はフリルじゃ」
「いいんじゃねえの」
だが、これにはファラオがやきもちをやいた。
仕方ないので、ケープライオンのアルビノを探してきてやった。
こっちはレオと名付けられた。
ケープライオンは2m以上になる大型のライオンで、現代では絶滅種である。
俺は各地の動物園に収めたパンダやコアラにも言語理解や念話のスキルを与え、環境などを確認していった。
だが、パンダと触れ合うような環境は作れない。
軽くじゃれたつもりでも、肋骨を骨折したような例は多いからだ。
ましてや不特定多数のお客さん相手だと、化粧の匂いが気に食わないとかありうるからだ。
食事については、やっぱり好き嫌いがあるようで、飼育員にアドバイスしていく。
気に入った飼育員には、内緒を条件に念話のスキルをセットしてあげ、直接コミュニケーションをとれるようにしてあげた。
動物との会話というのは、多くの飼育員が夢に見てきたことである。
ちょっとした体調の変化や、餌を食べなくなった原因。水の匂いや客が五月蠅い、同居人が気に入らないなど、機嫌を悪くする原因はいくらでもある。
その些細なことを気づいてあげられる飼育員はとても優秀なのだ。
相手に念話がなくても、雰囲気は伝わってくる。
「こ、こんな日がくるなんて…」
泣き出してしまう子もいた。
「まあ、これからもがんばってください。
でも、過信しないようにね」
「はい!」
それほどの事なのだ。
どうしても不満のある時は、別の動物園に連れていく。
それでもだめなら野生に返すしかない。
だが、中には人間に抱かれることを喜んでいる固体もいる。
コアラは、人間に守ってもらえるという安心感を感じる固体も多いのだ。
収録中にコアラを連れて行ったイランの動物園なんかはいい例だ。
十分な餌を与えられ、現代では天敵であった人間に保護されることを喜んでいるのだ。
さて、第6世界であるがどうやら、西暦100年から200年の間に分岐したのだろうという見方が強まっている。
発明・発見の内容からの分析だが、俺にはどうでもいい。
やはり、第6世界でも絶滅した動物が多く、そちらからも動物捕獲の要請が出てきた。
リクエストは、マンモス、各種トラ、ライオン、ヒョウ、ジャガー、チーター、オランウータン、ジャイアントモア、ドードーなどだ。
もちろん、ピグミーマーモセットも対象に入っている。
まずは、第5世界からマンモスを連れていく。
第5世界と第6世界は瞬間移動の起点ができていないので時間がかかる。
第6世界のソ連へ行って、導入場所を確認してから、第5世界のシベリアでマンモスを説得する。
今回も10頭の群れを説得できた。
ところが、まだ設備が整っていないとか言われ、俺はマンモスに言語理解と念話をセットして、あまり長距離を移動しないように伝えた。
ソ連には、十分な餌だけは提供するように徹底し、引き渡しを終えた。
どうも、第6世界の人間は、当分先のことだと高をくくっていたようだ。
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