第4話
新しい学校、新しい友達、新しい部活、新しい通学路、期待と緊張で気持ちが一杯だった。
信号を待っていたとき、道路の向こう側に一人の子供がいた。
黄色い帽子をかぶり、幼稚園の制服を着ていた。
頬は丸々として赤いリンゴの様だ。
明美はなんてかわいいのだろうか、食べてしまいたいくらいかわいい、と思った。
信号が青に変わり、その子が渡った時、一台の軽自動車が信号無視をした。
危ない!
明美は軽自動車に突進していた。
自動車は明美の巨体に吹き飛ばされていた。
明美は男の子に駆け寄り、
「危なかったね、道を渡るときは左右をみるんだよ、じゃないと、大きく育たないんだからね」
寺牛明美は人を食べる牛人だったのである。
左に首を向けて、左足を首の曲げた方へ出し、右足を左足に寄せてから離し、足を開く。
足踏み。
顔を正面に向け、左手に弓、右手に矢を持ち腰に手を当てた状態から、弓と矢を胸の高さまで持ってきて矢をつがえる。
また左を向いて、煙が立ちのぼるが如く、弓をうち起こしていく。
これ以上持ち上がらないところまできた。
そこから弓を持っている左腕を前に出し、矢を持っている右手を額から拳一個分うえあたりにもってくる。
引き分け。
ぐっと、矢を持っている右手が耳の後ろを通り、矢が頬に触れる。
会。
カン!
と、甲高い音が響く、右手が矢を離すと同時に腕は伸ばされていた。
離れ。
弓を腰に当てる。
ゆっくりとした、駄目なところのない動作はとても美しく早かった。
「かっこいいー」
明美は大きな瞳をキラキラと輝かせる。
「弓道部もいいなあ」
今は部活紹介の時間だ、いろいろな部活の紹介をしていた。
ふと、何か見られている感覚がして横を見ると、同級生の男子がこちらを見ている。
「なんだろう?」
鶏人間だった。
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