第3話

寺牛明美は十五才





 新緑が萌えて、桜の花が咲きほこっている。

 太陽の光は温かく、風はそよそよと流れていた。

 うららかな春の朝。

 時計の針が七時を指した。

「おはよう朝だよ」

「おはよう朝だよ」

「おはよう朝だよ」

白と黒の布団の中から手が伸びた。

「んーモー朝か」

 上半身を起こして伸びをする。

 そのまま起き上がり、学校に行く準備をする。

 寺牛明美は十五才だ。

 制服に着替え終え、二階から一階へ降りていく。

「おはよー」

 明美の父母も朝のあいさつを交わす。

 テーブルの上には明美の好物が並んでいた。

「どうしたの?今日のご飯」

「今日から高校生だから、元気に出かけてほしいからね」

 母はいつもの大きい笑顔でそう言った。

「ありがとうお母さん。いただきまあす」

 明美は早速好物を食べ始めた。

 とても美味しそうに。

 朝からこんなのを食べられるなんて最高と、明美はうれしがっていた。

 水も美味しそうに、ごくごくと音を鳴らして飲む。

「おっさんみたいな飲み方だな」

 父は笑いながら言った。

「お父さん、うるさい。ごちそうさまでした」

「じゃあいってくるね」

 鞄を手に持って、玄関に向かっていった。

「いってらっしゃい」

「きをつけてな!」

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