通貨の完成
というわけで通貨のデザインが決まりました。
銀行員の皆様、ご協力ありがとうございます。
因みに紙幣の顔絵は、ウチの領地に貢献してくれている、或いはしてくれた者達の肖像を使うことで決定した。
・壱万圓札 表=鬼堂日出雄の顔
裏=龍の絵
このシェルターがあるのも鬼堂さんのおかげだ。
俺の顔は使うなと言ったら「せめて象徴だけでも」と銀行員達に言われて、裏はこうなった。なんで?
・五千圓札 表=スィンの顔
裏=蛇の絵
シェルター利用客への接客用に一応用意されているスィンの擬人化画像。俺も食堂で「如何致しますか?」と言われる時にモニターに映る以外で見る事はほぼない。
裏は壱万圓が俺だったので、じゃあスズカでといったら蛇になった。本人に伝えるべきかは迷っている。
・千圓札 表=エイガ君の顔
裏=虎の絵
虎皮共をウチに引き連れてきたきっかけとなった子。ウチの御庭で最初にあの問題児集団の長に就任した子でもある。
虎皮の長だからね。裏は虎でいいでしょう。
・五百圓札 表=ソーンさんの顔
裏=馬の絵
シュテンの奥さんだ。シュテンはホントに頑張ってくれてるからね。シュテンの顔にしようとしたんだけど、本人から「私の代わりに」とリクエストを受けた。
色々思う所はあっただろうから、何も聞かずに了承した。
そういえば顔知らんがな、と思ったけどシュテンが描いた。
ならば裏はシュテンの象徴だ……ゴメン、馬車馬と農耕馬のイメージしかない。
・百圓札 表=ヨウコとユキメの顔
裏=牛の絵
ヤコウの最初の奥さん達だ。ヤコウチルドレンの祖と言っていいだろう。
会議室でシュテンの奥さんが紙幣の絵になると聞いたら、ヤコウが指くわえてジーッとこっちを見てきた為に決まった。ぶっちゃけ偽造さえ防げればいいから描くのは誰でもいいし。
裏は動物が続いたのでいっそ動物縛りで。
ヤコウの象徴……知らん。角あるし牛でいいんじゃね?
・五十圓札 表=ライガの顔
裏=狼の絵
始めに魔獣を狩り、赤虎の毛皮を纏った彼を忘れてはなるまい……というのは建前だ。エルフの祖フウガが候補に挙がったとき、長対決で勝ったライガを差し置くのはどうなの? という意見が出たので採用した。
裏はまた虎? と迷っていたらマガミが甘えた声で近寄ってきたのでマガミにした。
・十圓札 表=フウガの顔
裏=ゴリラの絵
フウガがエルフになる前からエルフは誕生し始めていたが、エルフがエルフとして虎皮から別れたときに、彼等をまとめたのはフウガだからエルフの祖でいいでしょう。
裏はマガミを羨ましそうにマサルが見ていたのでマサルにした。
・五圓札 表=ビーガインの顔
裏=鷲の絵
領地の種族の祖の顔絵を採用する流れでコイツになった。初めの勇者(笑)。
殆ど一緒だが、黒騎士とヤコウチルドレンを一応分けた考えると「コイツも入れた方が良いよね」ってことになった。
トリィを仲間外れには出来ない。当然裏面はトリィだ。
・一圓札 表=サクリファイスの顔
裏=猪の絵
ドワーフは誰にしよう? と考えて、山田に引き渡したドワーフを思い出した。
あの頃言葉がわからなかったから名前は知らないので、勝手に名付けた。
ウチの庭で餌として頑張ってくれている猪達に感謝を込めて裏の絵は猪を採用。
毛深くて横幅広い感じがなんか似てんなー、って思ったからだというのは内緒だ。
通貨単位は聖教国が円を使ってしまっているので、圓にした。
やっぱり“YEN”じゃないとしっくり来ない。
硬貨はなし。
金型なんて面倒い物、作りたくないもの。
紙幣ならデザインさえ決めてしまえば、プリンターで刷るのみ。
ならば断然紙幣でしょ。材料的にも。
紙なんぞそれこそ腐るほどあるから材料に困らないし、シェルターにあったオフィス製紙機のおかげで古くなった紙幣も再生できる。
なにより、今の世界は植物繊維でいっぱいだ。
勿論プリンターはシェルターから運び出し、銀行員達が頑張って刷るスタイルだ。
尚、銀行員はシュテンが選んだ街人の末裔から選抜。
今は印刷が仕事みたいになってるが、今後管理や配布もやって貰う。
こういう頭脳労働でしか活躍できないからね。
◇◆◇◆◇
金は半年かけてばらまいた。
もっと早くばらまきたかったが、銀行員達の体力的に無理はいえなかった。
俺の指揮下にブラック組織はあって欲しくない。
なんでだろう?
シュテンの顔が頭の中を
サイボーグ相手に疲労とか気を使ってもね……うん。
ともかく、各地にイイ感じで配布できたんじゃないだろうか?
となればそろそろお金の価値を知らしめねば。
つまり展示会販売だ。
目玉となるのはやっぱり冷凍庫かな。
食料の保存期限が延びるメリットはアホでも解るはずだ。
「随分集めたな」
「大事なことでしょ? 一人でも多くの人に見て貰わなきゃ」
急拵えで設置した野外会場。
マサル達が冷蔵庫や洗濯機を並べてくれた。
トマトや肉、魚なんかの売買にすでに使用させているが、居候達の認識はやっぱりまだまだただの紙。
他の拠点と取引するときに面倒くさい手続きが一個増えた位の認識しかない。
「さて、じゃあ始めようか。
といっても置いてる物を勝手に見て貰うだけだけど」
「そうね」
「じゃ、シュテンよろしく」
「……そういうところだと思うの」
『では皆の衆、第一回展示会販売を開始する! 今皆が手にしている紙幣だけが、ここにある物を手に入れる手段である! トキ殿の魔術の粋を目に焼き付けよ! そして、各々の手にある物の価値をよく理解するがよい!」
あー……そーいえばこの人達まだ機械を魔術って呼んでんだね。
もういいけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます