第6話 三冠の騎士はいい人たちだった

 〈おはよう、レイ君!〉


 目が覚めると、クロノの笑っている顔が目の前にある。まだ、全身が痛いけど、魔力不足で倒れた瞬間よりはましだ。

 それに、頭が綿のような柔らかい感触の上にあるおかげか、思っていたような、頭痛はしない。、、、んっ?ちょっと待って。・・・そもそもなんで俺の目の前でクロノが笑っているの?俺のフリーズしていた思考が、どんどん加速していく。


 あれっ・・・なんで?ここは、俺の布団じゃないの?どうして、クロノの顔がこんな近くにあるの!?俺は周囲の状況を分析した。目の前で首をかしげるクロノ、頭に当たる柔らかい感触、


 そうして、俺は一つの結論に至った。

 ・・・これってもしかして、膝枕ってやつ?・・・


 途端に、俺は恥ずかしくなって顔を上げた。


 〈レイ君、突然起き上がってどうしたの!?まだ完全に回復してないんだから寝てないとダメだよ!〉


 俺はクロノに押し倒されて、クロノの膝に顔をうずめた。

 あーー、柔らかくて、落ち着くなー。・・・じゃなくて、俺は、途端に顔から火が出るほど恥ずかしくなった。

 クロノはそんなを俺を見て、不思議そうに首をかしげている。


 ・・・やばい、何か話をしないと恥ずかしくて死にそう、、


 〈なっ、なぁ、クロノ!・・・俺はどれくらい寝てたんだ?〉

 〈大体一時間ぐらいだよ!レイ君がもう少し回復したら、もう一回修行をして、お昼ご飯を一緒に食べよう!〉

 〈それはいいんだけど、もしかして、クロノは俺が起きるまで、ずっとこのままだったのか?〉

 〈もちろん!レイ君の頭を、固い地面につかせるわけにはいかないからね!〉


 俺は、そのことを恥ずかしく思うのと同時に、自分のことを大切に思ってくれるクロノに対して嬉しく思った。



 その後、30分ぐらい経ち、俺は魔力がある程度回復したので、魔力量を増やす修行をもう一度した。そして、また、俺は倒れた・・・。



 〈おはよう、レイ君!〉

 〈あっ、ああ!おはよう、クロノ!〉


 俺は、まだ慣れないクロノの膝の上で目覚めた。

 一体いつになったら慣れるんだろう・・・・


 〈じゃあ、お昼ご飯にしようか!今準備するから待っててね!・・・よいしょっ。〉


 クロノはまた空間からダイニングテーブル?みたいなものを取り出して、置いた。

 なんか、だいぶこの光景を見ても、驚かなくなったぞ、

 クロノは次々と料理を並べていく。


 〈はいっ、できたよレイ君!召しあがれ!〉

 〈いただきます。・・・うまいっ!〉


 やっぱりクロノの料理はうまい!


 〈そりゃよかったよ!レイ君のために作ったからね。〉

 〈・・・モグモグ・・・なぁクロノ、俺あんまりご飯とか、たくさん食べるほうじゃないんだけど、なんでこれだけ食べれてるの?〉


 俺は、朝から疑問に思っていたことを聞いた。


 〈あー、それはね、この世界では、食べたご飯はちょっとずつ魔力に変換されていくからだよ!レイ君は限界まで魔力を使っているから、回復するためにはたくさん食べないとダメだしね。〉


 俺は、納得した。確かに、地球では並のラーメン一杯でおなかいっぱいになっていた俺がこれだけの量食べれるわけないしな。


 〈ところで、レイ君体調は大丈夫?午後からも、同じ修行するけど、、、〉

 〈全然大丈夫だよ!〉



 ・・・体調は大丈夫なんだけど、精神がやばいんだよな、、、




 俺はそのあと、5回修行をした。

 5回目の修行が終わるころには、修行に慣れたのか、体に魔力をまとわせることをスムーズに行えるようになっていた。


 〈はい、レイ君、ご飯できたよ!〉

 〈ありがとうクロノ!いただきます!・・・やっぱりうまい!〉

 〈それはよかったよ!〉



 〈・・・っでこれから、寝るまで何をすればいいの?さっき、魔力量を増やす修行とは違うことをするって言ってなかった?〉

 〈それはね、、、、説明するより見てもらったほうが早いと思うから、ついてきて!〉


 俺のことを気遣ってゆっくりなペースで歩いてくれるクロノについていくと、周りを木々に囲まれた場所に着いた。


 ・・・10分ぐらいたったけど、何も起こらない。


 〈なぁ、クロノ。ここで何をするんだ?〉

 〈しっ、、、〉


 あたりが静寂に包まれる。

 すると、どこからか、フードを被った人が3人、クロノを囲むように、集まってきた。

 隣にいるクロノは笑顔で、それを見ている。

 いやいや、いったい、ここで何が起きるの!?


 〈みんな集まってくれてありがとう。・・・今日集まってくれたのは、みんな気づいてたかもしれないけど、ここにいるレイ君を紹介するためだよ!レイ君はこれから、1000年間この森で修行をするんだけど、みんなには、そのレイ君の修行を手伝ってほしいんだ。・・・えーーとじゃあまず、お互いに自己紹介しよっか。あ、あと、レイ君はまだ、しゃべれないから、心言で自己紹介してね。じゃあまず、ホイップから!〉


 ん?自己紹介?どういうことだろう。もしかして、この森に住んでいる人たちなのかな?

 そう考えていると、目の前の3人はフードをとった。


 〈はじめまして、私は、クロノスタス様の配下、三冠の騎士の一人である魔族のホイップです。以後お見知りおきを。〉


 頭から角が生えている。それに、美人だし、、、でかい。


 〈俺は、クロノスタスの配下、三冠の騎士の一人の獣人族のバアルだ。努力する奴は好きだぜ。よろしくな!〉


 頭から、虎の耳みたいなのが生えている。めっちゃ、体育会系って感じだ。


 〈私は、クロノスタス様の配下、三冠の騎士の一人、シャルル。あっ、亜人族。よろしく。〉


 耳が長い。それに、とても美人だ。この世界の人はみんな美人なのかな。


 みんな自己紹介してるし、俺もしないとダメだよな。ていうか、俺の言葉は通じるのか?


 〈俺は人族の神谷レイです。これから1000年間お世話になります。〉


 言葉が通じるか不安だったけど、3人の反応を見るに伝わっているみたいだ。


 〈じゃあ、お互いに自己紹介も終わったし、お互い親睦を深めようか!お互い聞きたいことがあったら聞くといいよ〉


 〈えっとー、じゃあ、ホイップさんとバアルさんとシャルルさんが言ってた三冠の騎士って何なんですか?〉

 〈俺が答えてやる。俺らは昔、時の森が欲しくて、時空の大精霊クロノスタスに戦いを挑んだ。まあ、結果は言わんでもわかるだろうけど、大敗したんだわ。俺らは死を覚悟したよ。そしたら、クロノスタスに『君たち、面白いね。僕の配下にならない?』って誘われて、二つ返事で配下になった。それで、修行して強くなって裏のランキングで上位をとってるうちに周りから三冠の騎士なんて呼ばれるようになっていたってわけだ。〉

 〈えっ、じゃあ、クロノが戦った獣人族と亜人族と魔族ってホイップさんとバアルさんとシャルルさんのことだったの!?〉

 〈まあ、そういうことだな。〉


 ・・・そもそも、裏のランキングって何?また、クロノに聞くか。


 〈私はレイに聞きたいことがある。〉


 えっ、シャルルさんが俺に聞きたいことって何だろう。


 〈・・・レイ、あなたはいったい何者?〉


 そういえば、確かにまだ俺のことを話してなかったなと思い、今まであった事の顛末を3人に話した。



 〈はーそんなことが、、、〉

 〈なるほどなっ、、、〉

 〈なるほど、、、〉



 3人は何かを考える仕草をしている。あれっ、俺何かまずいこと言っちゃったかな。

 すると3人は何かを話しだした。

 そして、話が終わったのか、俺のほうを見た。



 〈〈〈俺、私たちもレイ、レイさんの修行を手伝ってやるよ、あげます〉〉〉

 〈といっても、500年後とかになるだろうけどな。〉


 〈えっ・・・どうして手伝ってくれることになったんですか?〉


 〈〈〈気に入ったからだ、です。〉〉〉

 ・・・・・・

 なんか、心の奥底が温かくなった気がする。


 〈あっ、ありがとうございます。その時はぜひよろしくお願いします。〉


 〈俺たちは、時の森にいるのがつらくなってきたから、そろそろここを出るよ。じゃあまたなレイ〉

 〈またねレイ〉

 〈また会いましょう、レイさん〉


 そういえば、この時の森では、常に魔力を消費するんだったっけ。それでも、この3人は、これだけ長い時間、時の森にいられるってことは相当強いんだろうな。俺も頑張って早く強くならないと。


 〈はいっ!今日はありがとうございました!また会いましょう!〉


 そうして3人はその返事を聞くとすぐ、フードをかぶってどこかへ消えていき、その場に残ったのは、俺とクロノだけになった。

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