第5話 初めての修行はきつかった

 朝、目が覚めると、どこからかいい匂いが漂ってきていた。

 俺は、なんだろうと不思議に思って、においのする方を見た。

 するとそこには、フライパンらしきものを楽しそうに振っているクロノが立っている。


 〈おはよう、クロノ!何してるの?〉

 〈ん?零君、おはよう!今はね、朝ご飯を作っているんだ。零君、昨日からごはんを何も食べてないからね。〉


 そう言って、クロノはニコッと笑った。

 俺はその笑顔にドキッとして、顔に血が集まってくるのを感じた。


 〈あっ、ありがとう!〉

 〈どういたしまして!もうすぐできるから待っててね!・・・ん?零君なんか顔赤くない?大丈夫?〉


 クロノは俺の顔をじっと見つめている。


 〈うっ、、うん。大丈夫だから!それより今日からする修行はどんなことするの?〉


 俺は、恥ずかしくなって、別の話題を振ることにした。

 昨日から、俺、一体どうしちゃったんだろう。。。


 〈そっかー。ならよかった!修行の内容はまた後で詳しく説明するけど、最初の250年は魔力量を増やす修行をしてもらおうと考えているよ。〉

 〈それって、やっぱり難しいのか?〉

 〈うんうん、僕が教えるから簡単にできると思うよ!あっ、そろそろ、ご飯できるから、そこに座っておいて。〉


 そう言って、クロノは空間からダイニングテーブル?みたいなものを取り出して、置いた。


 〈・・・ん!?なあクロノ、昨日から思ってたんだけどさ、それ、どこから出したの?〉

 〈あーーー、これは、僕の【精霊魔法時空】亜空間収納っていう魔法だよ。その人の、魔力量で中に入れることのできる量が変わるんだ!零君もいずれ使えるようになるよ!〉

 〈まじっ?ところで、クロノの亜空間収納ってどれくらい入るの?〉

 〈だいたい、ドラゴン1000体分くらいかな?まあでも、零君もすぐに、それぐらい入れることができるようになるよ!そんなことより、ご飯できたから一緒に食べよ!〉


 クロノは鼻歌を歌いながら、ご飯を並べていく。

 やばい、、、全部めっちゃうまそう。


 〈はいっ零君、召し上がれ〉

 〈いただきます!〉


 俺は、まず目の前にあるうまそうな肉にかぶりついた。まだ1歳だから、口は大きくないけど、、、

 なにこれっ!?噛めば噛むほど、肉汁があふれ出してめっちゃうまい!

 俺は、手当たり次第にクロノの作った料理を食べた。どれも、めっちゃうまい、、、なのになぜか、涙があふれてきた。


 〈零君、どうしたの?もしかして泣くほどまずかった?〉

 〈クロノのご飯はめっちゃおいしいよ。・・・だからなのか、食べていたら、現実世界にいる沙姫のことを思い出して。〉

 〈・・・・・・〉

 〈俺が、現実世界にいたころ、沙姫が毎日うまいごはんをつくってくれたんだ、それを今思い出したら、もう沙姫とは会えないんだなーって思うとつらくて、!?!?!?っクロノ?〉


 突然、クロノが目の前から消えたと思うと俺の頭は何かに包まれていた。


 〈落ち着くまで、このままでいるといいよ。〉


 俺はリミッターが外れたのか、長い時間、クロノの胸を借りて泣いた。


 〈クロノ、ありがとう。落ち着いたよ。〉

 〈そう?よかったー!ご飯はもういい?〉

 〈うん!おいしかったよ。ごちそうさま。〉

 〈うんうん、どういたしまして!〉

 〈よしっ、じゃあ修行を始めようか!〉

 〈おうっ!〉

 〈じゃあとりあえず移動しようか。零君、僕にしっかりつかまってね。・・・【精霊魔法時空】空間転移〉



 俺とクロノは大きくて太い木が1本生えている場所に来た。あたりには草がたくさん茂っていて、大きな木のほかに、木は見当たらない。


 〈クロノ、ここは?〉

 〈ここは、零君の修行場所だよ。今日からここで1000年間、僕と一緒に修業するんだよ!〉

 〈わかった。まず何からすればいいんだ?〉

 〈じゃあ、零君に質問です。魔力量はどうやって増やすでしょう。〉

 〈たくさん使うとか?〉

 〈うんうん、正解だよ。じゃあどうしたら、魔力をたくさん使えると思う?〉

 〈うーーーん。わかんないや。答え教えて〉

 〈しょーがないなー。魔力をたくさん使うには、常時魔力を使えばいいんだよ!〉

 〈そんなんどうやったらいいの?〉

 〈それを今から説明するよ。じゃあまず、僕が零君に魔力を流すからそれを感じてみて。〉


 クロノは俺の背中に手を置いた。

 すると、そこから何か温かいものが流れ込んでくる。


 〈零君、何か感じる?〉

 〈うん、何か温かいものが体の中をめぐっている感じがする。〉

 〈そうそう、それが魔力だよ!じゃあ次はそのめぐっている魔力を、体全体で外に出すことを意識してみて。〉


 俺は、体の中をめぐっている温かいものを流れ出る汗をイメージして、体の外へ出した。


 〈!?!?!?〉


 クロノが驚いた顔をしてこっちを見ている。


 〈零君、一発でできたの?やっぱり、零君には魔法の才能があるよ!〉

 〈そうなのか?、っで次はこれをどうしたらいいんだ?〉

 〈うんうん、本当にすごいよ!次って言っても、もうほとんどすることないんだけど、今の零君は、魔力を体から出して、魔力の結界を張っている状態なんだ。その状態の零君に、いま僕が零君に張っている魔力の結界を少しだけ弱めると、僕の魔力の結界と零君の魔力の結界で、時の森の魔力から零君を守ることになるんだ。そうしたら、零君の魔力はどんどん減っていって、零君は魔力切れになって倒れるよ。この作業を、魔力が回復するたびに、繰り返すと零君の魔力はだんだん増えていくよ。っで零君の魔力が増えてきたら、僕もそれに合わせて、零君に張っている魔力の結界を弱めていって、僕が零君に魔力の結界を張らなくても、零君が時の森で過ごせるようになったら、この修行は終わりだよ。・・・じゃあやってみようか。〉

 〈え、、ちょっと待って、……ッ!?〉


 俺は正直、心のどこかで修行をなめていたのだろう。

 突如、俺の体は何かに押しつぶされるような重圧を感じた。

 体から、どんどん熱が抜けていくのを感じる。

 俺はそのまま地面に倒れこんだ。しかし頭には、想像していたような痛みや衝撃はこず、代わりに柔らかい感触が俺の頭に訪れた。

 俺はそのことについて考える間もなく意識落としていった。

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