第32話 候補と選択

一日で全ての部活を回るのは、やはり無理があったわけで。料理部を体験してから、俺と琥珀は帰路についていた。


「琥珀、どうだった?」

「えっとね、料理部は入りたいかも……」

「じゃあ、とりあえず第一候補として……明日も文化部軽く見てから決めようか」

「うん……でも、あっくんは部活どうするの?」


その質問に少し考える。同じ部活というのもありだけど……あの料理部に入るとなると俺は居ない方が琥珀的にはいいのかもしれない。男子禁制じゃなくても、ハーレム状態は琥珀の心情的にはあまり良くないだろうしね。


「そうだね……まあ、明日見てから決めるけど……」

「あのね、あっくんが今日運動部の人と勝負してたのね……すっごくカッコよかった」


えへへと笑ってから、琥珀は可愛いことを言う。


「だからね、あっくんならどんな部活でもきっと凄いと思う」


……ちくしょう!なんなんだよこの可愛さ!俺っちマジでキャラ崩壊するほど悶えてしまうやろォ!


「ありがとう。でも、出来れば琥珀と一緒に登下校したいから、融通の利く部活にするよ」


料理部は一週間の活動がそこまで多くない部活だ。だから、それを踏まえて琥珀と一緒に居られるための部活を選択しないと。メジャーで人が多い運動部は論外。上下関係もだけど、規則もそこそこキッチリしてて縛りが多いといざって時に対応できない。


スポーツは好きだけど、琥珀が第一。だから、文化部でも運動部でも入るとすれば人が少ないある程度融通の利く部活にするのがセオリーだろう。


あとは……出来れば、琥珀から見てカッコイイ部活だと尚良しだけど、そこはある程度考える必要がありそうだ。


「私も、あっくんと一緒に帰れるのは嬉しいなぁ」


そんな俺にぽわぽわと笑顔を向けてくるプリティーエンジェル(ここ重要!)琥珀たん。あぁ、俺は本当に琥珀がいればなんでも出来る気がする。そう思って琥珀と手を繋ぐと俺は微笑んで言った。


「じゃあ、こうして毎日一緒に帰ろうか」

「うん!」

「あと、出来ればこうして琥珀の隣でカッコイイ彼氏でいたいかな」

「あっくんはかっこいいよ〜」

「琥珀は最高に可愛いよね」


恥ずかしそうに顔を反らす琥珀。なんだろう……そのうち俺、Sに目覚めることもあるかも。痛いことと酷いことはしないけど、琥珀を赤面させるのが心がぴょんぴょんしてしまうくらいマイブームになりそう。


もちろん、本気で嫌がることも人前で見せることもしないよ。だってこんなに可愛い琥珀は俺だけ知ってればいいしむしろ他の男に見せる理由はない。


そんな感じで本日も彼女が可愛いです。はい。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る