第21話 携帯を求めて

翌日、前日の買い物での疲労もあるだろうし、琥珀とゆっくりお家デートというのも良かったけど、その前にとりあえず必要になりそうな携帯を買いに行くことにした。


ついでに俺も買い替えていいと言われたけど……ここでスマホをチョイスすると多分機械オンチの気がある我が愛しのマイエンジェル(ここイケボ)、琥珀たんが使えない可能性もあるので、画面がタッチできる半スマホ型携帯電話を選択する。


まあ、実際今の時代は俺が過ごしていた空虚な未来と比べてスマホの普及率は低いから焦ることは無さそうだしね。


「えへへ、あっくんと同じ〜」


契約を済ませて使えるようになった携帯を見て嬉しそうに微笑む琥珀。もうね、俺とお揃いが嬉しくて堪らないって感じの笑みが本気で可愛くて今すぐ抱き締めたい衝動を我慢するのに必死だった。


「いつでも電話とかメールしていいからね」

「うん……あ、ちょっと待ってて」


そう言ってから少し離れて携帯を弄る琥珀。すると、俺の携帯が着信音を鳴らし始めた。もう、確認しなくても分かったけど、とりあえず着信主を確認すると琥珀の名前。やれやれ。


「もしもし」

『もしもし、あっくんですか?』


死ぬほど悶えてしまうくらい世界一可愛いもしもしでした。


「もちろん、琥珀のことが大好きなあっくんですよ」

『えへへ……なんか、変な感じ。あっくんの声が近くでくすぐったい』


俺は琥珀の声で昂るのを抑えるのに必死です。そんなことを思っていると、琥珀は少し迷ったようにしてから電話を切って戻ってきた。


「お帰り、琥珀」

「うん……あのね、やっぱりあっくんが目の前にいる方が安心する」


……抱きしめてキスをしなかった俺を褒めて欲しい。ふぉぉお!え?なんなのこの可愛い生き物。ええ、俺の幼なじみで自慢の彼女ですが何か?


「そっか。じゃあ、なるべく一緒にいようか」

「うん!」


まあ、俺の場合24時間琥珀を守護するくらいの覚悟があるけどね。我ながらストーカー予備軍なのは仕方なかろう。何しろ琥珀は可愛くて純粋だから。


それに……あの、最悪の未来を見てしまうとどうしても不安が頭を過ぎるのだ。俺の罪の証。それだけは忘れることは出来ないししたくない。そうならない為に絶対に琥珀を守る。


優しく、そしてさり気なく手を繋ぐと琥珀は驚きつつも受け入れてくれた。付き添いの父さんの存在を忘れるレベルでイチャイチャしていたが……まあ、空気を読んで黙っててくれた父さんはなかなか紳士だと思う。ま、俺もその息子だし紳士ですが何か?






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