第16話 前は夫婦、後ろはカップル
「明彦さーん♪」
「こら、紗季。運転中に危ないだろ?」
「うふふ、だって明彦さんの運転する姿カッコイイんですもの」
「わかった、わかった」
前の席でイチャイチャする夫婦。子供の前でも昔からこうなので半ば諦めている光景を見て琥珀は顔を赤らめて言った。
「す、凄いね……お父様もお母様も」
「昔からああなんだよ。まあ、その気持ちも今ならわかるけどね」
そう言ってからそっと琥珀の手を握ると恥ずかしそうにしながらも握り返してくれる琥珀。うん、やっぱり琥珀のこういうところ大好きだ。全部好きだけどね。
「ねえ、琥珀は俺が運転する車乗りたい?」
「うん。あっくんの隣にいたいな」
えへへと微笑む琥珀さん……あぁ、なんでそんなに可愛いの?琥珀は俺を萌え殺すつもりなのか!いや、琥珀になら萌え殺されたい!
「じゃあ、免許取ったら真っ先に乗らせてあげるよ」
「うん。約束だよ?」
「なんなら指切りでもしようか」
これは本当に冗談のつもりだったのだが……琥珀は嬉しそうに小指を出してから定例の呪文を唱える。
「指切りげんまん、嘘ついたら、針千本、のーます。指切った♪」
やべぇ……なんか恐ろしいはずのこの呪文が琥珀が言うと可愛く感じる。ちょっとヤンデレ風味なのも俺好みで本当に好きだ!これくらい琥珀にもヤンデレ要素あってもいいが……今の純粋な琥珀も好きなので迷いどころだ。
「でもね、こんなことしなくてもあっくんは約束守るって私知ってるんだよ」
「そうなの?」
「うん。私との約束あっくんいつも守ってくれるもん」
まあ、少し疎遠になる前は琥珀と俺は文字通りベッタリだったからね。本当にそのままイチャイチャしてれば良かったのにと当時のことを思い出してそう思うけど……結果的にこの可愛い琥珀と触れ合えてるからセーフとしよう。
「琥珀」
「なあに?」
「今度は2人で出掛けようか。ちゃんとしたデートしよう」
「デート……う、うん」
照れながら頷いて微笑む琥珀………もうさ、その表情が反則的なんだよね。その顔でお願いされたらなんでもしちゃうと思う。そうして琥珀とイチャイチャしていると、何故か前の夫婦はそれを微笑ましそうに見てたが……いや、こんな時だけ見守るのやめてよ。見せ物じゃないんだから。
まあ、琥珀の全てを独占する過程で家族や琥珀の友人(女子オンリー)に多少見られるのは仕方ないが……それでも、俺は独占欲強いからそんな風に思ってしまうのだった。本当に琥珀の全てを独り占めしたいが……まあ、なんとか耐える。そのうち琥珀襲わないか不安だが……頑張るよ。うん。可愛い琥珀のために。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます