第15話 朝ごはんは速やかに
「いただきます」
きちんと挨拶してから、美味しそうにパンを食べる琥珀。食べ方も小動物っぽくて本当に可愛い。いや、マジで……保護欲を唆られるのだ。うん、やっぱり琥珀は俺が守りたいよね。
「ふふ、暁斗。琥珀ちゃんばっかり見てないでご飯食べなさい」
「ふぇ!?」
「……ごめんごめん。可愛いからついね」
「はぅ……」
「やれやれ……親子揃って琥珀ちゃんで遊ばないの」
コーヒー片手に新聞を読みながらそうため息を漏らす父さん。少し心外なので俺はそれに反論した。
「俺は本心を言っただけだよ。琥珀の食べ方物凄く可愛いんだから」
「はいはい。わかったから。琥珀ちゃん真っ赤になってるでしょ?」
「はぅあぅ……」
朝からぷしゅーと蒸気を出す琥珀はマジで可愛すぎるが……まあ、出掛ける前からあまり愛ですぎても琥珀の体力がもたないだろうから自重することにした。苦渋の決断だったと言わざる得ないよね。本当なら血涙してたかも。
「そうだ……暁斗も何か必要なら言うんだよ」
「俺は特には……あ、父さん。出来れば琥珀にも携帯買ってくれる?もしもの時のために。あとチャイルドフィルターもかけといてね」
「え、そんな携帯なんて悪いよ……」
「ふむ、確かにいざという時にあった方がいいかもね」
とりあえずフィルターとGPSはあるに越したことはないからね。恐縮する琥珀に俺は微笑んで言った。
「大丈夫だよ。料金自体はさほど問題じゃないから。ただ、琥珀の安全を知りたいから出来れば居場所が分かるようにGPSの機能を使わせて貰いたいんだけど……ダメかな?」
琥珀に何かあった場合。俺がそばに居られない本当にやばい時に備えての保険だ。確かに俺は琥珀に常時ベッタリするが……例えば琥珀が友達と出かけた時とかに何かあったら直ぐに駆けつけられるようにしたいのだ。
俺の言葉に琥珀は控えめに頷いたので俺は頭を撫でて言った。
「ありがとう。せっかくだし欲しいの選びなよ」
「う、うん……あのね……出来ればその……あっくんと一緒じゃダメかな?」
「一緒って携帯を?」
「うん。お揃いがいいなって……」
恥ずかしそうにそう言う琥珀……え、何やだ可愛すぎる。俺の琥珀たんマジ天使!
「わかった。お揃いにしようか」
「えへへ、うん」
嬉しそうに頷いてから再び小動物のように朝ごはんを食べ始める琥珀……ずっとこの横顔を見ていたいところだが……流石に琥珀も恥ずかしがりそうだし自重して、チラ見にしておく。変わらないって?琥珀はウキウキしてて気づいてないから、いいんだよ。
というか、朝から琥珀が可愛すぎてヤバいんだけど……どうしよう?
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