第281話 グループ行動

「はーい、じゃあ、これからは各グループでの行動になりますので、集まってくださいね~」


 駅につくと、先生のそんな緩い感じの説明があった。そして、いよいよ、グループで行動することになった。


 ちらりと、たまたまであったが、横山の姿が目に入った。無論、違うグループであるわけだし、話しかけるつもりもなかったのだが……なんだか、少し複雑な気分になってしまった。


「いや~、ようやく会えたね~」


 と、俺がそんなことを考えていると、隣から外川の声が聞こえてきた。


「……お前、前野と変な約束してたんだって?」


「あはは~、別に変な約束ってわけじゃないよ。むしろ、前野さんの方から言ってきたんだし」


「……は? 本当か?」


「うん。まぁ、僕としては別にどうでも良かったんだけどさ~、横山さん、新幹線でずっと寂しそうだったよ?」


 そう言って、外川は少し離れた場所にいる横山の事を見る。と、横山とは目が合ったが……すぐに横山の方が目をそらしてしまった。


「……それで、最初はどこへ行くんだ?」


「この縁結びの神社でしょ?」


 と、今度は急に前野が割って入ってきた。


 ……確かに、事前の話し合いでも、最初に行く場所として、有名な縁結びの神社に行くことになっていたが。


「……ほんとに行くのか?」


 正直……俺以外女の子だらけのこのグループで最初に行くのが縁結びの神社というのもなんだかなぁ、という感じであった。


「駄目なの?」


 少し不安そうに、だが、NOと言わせない圧を感じさせながら、前野はそう言った。


 どうやら、この神社に一番行きたいのは前野らしい。それならば、行かなければいけないだろう。


「……いや、駄目じゃない。行こう」


 俺がそう言うと前野は安心したように笑った。外川がニヤニヤしながら俺のことを見ているのは腹立たしかった。


 そして、どうにも、先程から端井が、少し居心地悪そうにしているのが気になるのであった。

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