第267話 興味

 外川寧々……端井の前の席……つまり、俺の斜め前の席に座っている少女だ。


 たまにチラリと目に入ることがあるが……授業中だろうが、休み時間中だろうが、いつも寝ている気がする。


 前野と同じくらいの髪の長さの彼女だが、髪はボサボサで、頭の上からアホ毛がピョンとはねている


 制服もどこかダルダルのように見えるし……そもそも、今日初めて喋ったような気がするのだが……。


「……えっと、外川? 何か用か?」


 俺がそう言うと外川は大きなあくびをしながら、笑う。


「あはは~。決まっているでしょ。グループに入れてほしいんだよ~」


「……え? グループって……ウチのか?」


 俺がそう言うと同時に、前野と端井も同時外川のことを見る。


「そうだよ~。四人って先生言ってたし~……あと一人、足りないでしょ~?」


 間の抜けた感じで喋っているが……まさにその通りである。


「あの……なんで、ウチのグループなんですか?」


 と、俺が聞きたかった質問を、端井が外川にする。


「ん~? 理由を言わなきゃいけないの~?」


「えぇ。一応、聞いておきたいので」


 端井だけでなく、前野も外川のことを真剣に見ている。と、いきなり俺のことを外川はニンマリと微笑む。


「そりゃあ~、後田君に興味があるからだよ~」


 ……いきなりとんできたその言葉に、俺は驚くしかないのだった。

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