第239話 落ち着いて
「……で、今どうなっているの?」
横山は責めるような目つきで俺のことを睨んでいる。
横山が俺ともっと落ち着いた場所で話したいと言ってやってきたのは、以前横山と訪れた駅前のファミレスだった。
しかし、今はあの時とは違う。横山は制服姿だし、何より、なぜか俺は横山に怒られている。
「……どうなっているも何も……特にはしていないが」
「はぁ? いや、ちょっと待ってよ……何もしてないってこと?」
そう言って俺の方に身を乗り出してくる横山。思わず俺は身を引いてしまう。
「……いや、だから、さっきも言ったけど……そもそも、俺と前野は付き合ってないんだ」
俺がそう言うと横山は「はぁ~」と、わざとらしく呆れを態度に示す。
どうしてそんな反応をされなくてはならないのかと思ったが……言わないでおいた。
「……あのさぁ。後田君は、真奈美のこと、好きじゃないの?」
呆れ顔で横山は俺にそう言ってくる。
俺はしばらく考える。前野のこと……俺は好きなのだろうか?
……嫌いではない。それに、俺と前野はそれなりの付き合いになってきた。
無人島も、夏祭りも一緒に行ったし……。
「……いや、俺は前野のこと、嫌いじゃないけど……前野は俺のことをどう思っているかはわからないし……」
横山は信じられないという顔で俺を見る。
……そんなに変なことを言っただろうか?
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