第236話 窓の外

 そして、次の日。学園祭が近づいてきて、クラスもどこか浮足立っているように思える。


 そんな雰囲気の中、俺は端井の言う通りに横山に話しかけることにした。


 横山は自分の席で一人で窓の外を見ながらぼんやりしていた。いつも話している陽キャグループも周りにいないし、明らかに大丈夫……ではないように見える。


「……横山」


 俺が声をかけると、少し驚いたような顔で横山は俺を見る。


「あ……ど、どうしたの? 珍しいね、話しかけてくてるなんて……」


「……いや、ちょっと聞きたいことがある」


「聞きたいこと?」


 俺は少し間を置いてから、本題に入る。


「……大丈夫か?」


 俺がそう言うと、横山は目を丸くする。それからフッと小さく微笑んだ。


「……大丈夫じゃない、って言うと、後田君が助けてくれるの?」


「……できることは、するつもりだ」


 俺がそう言っても、横山はどこか真剣ではないようだった。どうせ、俺ではどうにもできない……そう思われているような気がする。


「そっか……じゃあ、話だけでも聞いてもらおうかな。今日、係の仕事ってないよね?」


「……まぁ、大体準備は終わったからな」


「良かった。じゃあ、放課後、ちょっと付き合ってよ」


 そう言って、結局、横山とは放課後に話すことになってしまった。


 そういえば、俺と横山が話しているのに、中原がまるで絡んでこなかった……というか、中原の視線すら感じない……俺は嫌な予感を覚えるのだった。

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