第222話 彼のこと
「……で、何の用だよ」
次の日、俺は中原と話をすることにした。場所は人目のつかない……校舎裏にした。
以前中原が俺を呼び出したが、今度はその逆の形になったというわけである。
それにしても……確かに中原は元気がなかった。眠れていないのか、目の下にはっきりとクマが見える。
「……横山のこと、どうしているんだ?」
俺が訊ねると、中原は大きくため息を付いた。そして、悲しそうな目で俺を見る。
「……俺は、もうダメだ……」
「……は? な、何が?」
「愛留に……完全に嫌われた……もう生きていく意味がわからねぇよ……」
……どうやら、相当横山のことがショックだったようである。
「……横山には、会いに行ったのか?」
「い、行けるわけないだろ……もうダメに決まっている……」
「……横山に会っていないのに? まだダメかわからないんじゃないか?」
俺がそう言うと中原は助けを求めるような目で俺を見る。
「じゃ、じゃあ……お、お前の一緒に来てくれよ!」
「……え? お、俺も?」
「じゃ、私も」
と、いきなり背後から聞き覚えのある声がした。
「……前野。お前、なんで……」
「だって、私も横山さんのこと、心配だし」
それを聞いているのではないのだが……かといって、俺がなぜここにいるのかの理由を聞いても前野は微笑むだけである。
結局、よくわからないことになったが……俺と前野、そして、中原で横山の家に行くことになったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます