第144話 強引
それから数日は、なんだかもやもやした気分であった。
学校にも行かないから、横山の様子も確認することができず、あれからどうしているのかがまるでわからなかった。
自分から電話してみようかと思ったが……なんだか、それも悔しかった。
そんな気持ちのままで、すでに月末になってしまった。ふとカレンダーを見ると、横山が言っていた無人島に行く日が近付いている。
「……行きたくないって言っちゃったからな」
結局、俺はこんな人間なんだとほとほと思った。いや、むしろ、こんな人間に対して、横山のようなタイプの人間が関わってくるべきではなかったのだ……そう思うことにした。
そんな日の夜のことだった。携帯に着信があった。
思わず横山かと思って慌てて携帯を取る。表示されたのは……前野の名前だった。
「……もしもし?」
「あ、出た」
「……電話がかかってきたら出るだろ?」
「そうだね。フフッ、愛留ちゃんじゃなくて、残念だった?」
急にそんなことを言われて俺は思わず言葉に詰まってしまった。
「……なんだそれ」
「聞いたよ。愛留ちゃんから。愛留ちゃん、後田君を怒らせちゃったんでしょ?」
「……別に怒ってない」
「怒ってるじゃん。フフッ」
「……電話、切っていいか?」
「ダメ。前会った公園にいるから。今から来て」
そう言うと、電話が先に前野が勝手に切った。
前野の強引さを久しぶりに味わうと……なんだか自分がひどく小さなことで怒っていたような気分になった。
とりあえず、公園に行くことにした。
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