第111話 邪魔されない
「……つまり、お前のその……家が所有している無人島に行くってことか?」
そして翌日。俺と前野に対して、横山から聞かされた話は……俄には信じられない話だった。
しかし、横山は至極真剣な表情だった。どうやら、冗談を言っているわけではないようで、本気で無人島に行こうとしているし、そもそも、マジで無人島を所有しているようである。
「うん。いいアイデアでしょ?」
むしろ、横山は得意げにそう言っている。俺は思わず前野のことを見てしまう。
「いいんじゃない。それ」
前野は軽い感じでそう言った。しかし、横山はとてもうれしそうである。
「ホントに? いいの?」
「うん。私はそのアイデアに賛成だけど、後田君はダメなの?」
前野は不思議そうな顔で俺を見ている。
俺としてはてっきり、前野は反対すると思っていた。
そもそも、横山にどこかに行く話をしてしまった時点で前野は機嫌を悪くするのではないかと思っていたが……俺の杞憂だったようである。
そもそも、前野にそう言われてしまうと……俺も反対とは言えなくなってしまう。
「……あぁ。いいんじゃないか」
「良かった! じゃあ、決定ね! 楽しみ!」
子供のように嬉しそうな表情をする横山。俺は思わず前野のことを今一度見てしまう。
「無人島なら、誰にも邪魔されないしね」
ニッコリと微笑んでそう言う前野を、俺はやはり……怖いと思ってしまうのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます