第66話 遅刻
そして、学校についた。俺は足早に教室に向かう。
教室の扉を開き、自分の席へ向かう。その途中、隣の席には……まだ誰もいなかった。
一瞬、ちらりと前野が俺のことを見る。しかし、何もいわずにまた視線を反らしてしまった。
……結局、前野のことは何も解決していない。むしろ何もしていないことで、悪化しているような気もする。
そういう点では逃げている、のだろうが……かといって、俺に何かできるのか、まるで俺には想像できなかった。
俺も席につく。どうにも隣が気になってしまった。横山は今日来るのだろうか……いや、そもそも、先日の俺は横山に何もしなかった、というか、そもそも会っていないのだ。
横山が今日、学校に来るという保証なんてまるでないのである。
結局、始業のチャイムが鳴るまで横山は来なかった。チャイムが鳴り、先生が入ってきた。
横山は来なかった。まぁ、何もできていない俺にはどうすることもできないのだが……。
そう思っていた矢先だった。
「す、すいません!」
いきなり教室の扉が乱暴に開いて……横山の声がした。
「……横山、遅刻だぞ」
先生にそう言われ、苦笑いしながら席につく横山。俺は思わずモロに横山を見てしまう。
そして、横山は……俺のことを睨んでいた。どうにもすでに悪い予感がしていたのであった。
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