第51話 女神
「私、友達いないんですよね」
半ば強制的に一緒に帰らされることになったわけだが、唐突に端井はそんなことを言い出した。
「……そうか」
「そうか、って……そうは見えない、とか言ってあげるのが普通じゃないんですか?」
「……いや、ストーカーを自称しているヤツが友達いないって言ってきても、まぁ、そうだろな、としか……」
俺がそう言うと、端井は不満そうな、そうでないような顔で俺を見る。
「そんな私にも話しかけてくれたのが……真奈美様だったんです」
「……え? 前野が?」
俺が聞き返しても端井はまるで聞いていないようであった。うっとりとした顔で目を輝かせている。
「あぁ……真奈美様。こんな私にも優しげに話しかけてくれて……私はあのとき思いました。こんな私に話しかけてくれる真奈美様は天使……いえ、女神様なのだと!」
……前野が女神。言葉だけだと笑ってしまうが、目の前の端井は至極真剣のようだった。
「それで……これがどういうことかわかりますか?」
「……え? 何が?」
俺が意味もわからず尋ねると、端井は俺の方に一気に距離を詰めてくる。
「アナタが! 私から女神様を……真奈美様を奪ったんですよ!」
「……はぁ?」
意味もわからず、俺は端井の発言に、益々混乱するしかないのであった。
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