第46話 ストーカー?

「おはようございます。後田君」


 そして、次の週の月曜日。とんでもないことが起きた。


「……端井? な、なんでお前が、ここに……」


 なぜか家の前には……端井が立っていた。相変わらずの薄気味悪い笑みを浮かべて、俺のことを見ている。


「なんで、って……酷いじゃないですか。クラスメイトでしょう?」


「……俺は、お前とほとんど面識がない」


「えぇ、そうですね。でも、後田君は私の名前、覚えてくれたみたいですね?」


 ニヤニヤしながらそう言う端井。なんというか、嫌悪感というのを俺は久しぶりに感じた。俺は無視してそのまま学校への道を急ぐ。


「デート? 楽しかったですか?」


 耳元でいきなり囁かれて、俺は思わず飛び退いてしまった。端井はニンマリと笑っている。


「……やっぱり、お前だったのか」


「おや? 気付いていたんですか。わからないように離れて見ていたんですけどね」


「……お前、そういうのストーカーっていうんだぞ?」


「えぇ。そうですよ。私はストーカーです」


 悪びれる感じもなく、端井ははっきりとそう言った。


「……あのなぁ。俺、お前に何かしたか? お前にストーキングされる筋合いなんて無いと思うんだが」


「は? 別に後田君のことをストーキングしているわけじゃありませんよ」


「……それって、つまり――」


 と、端井は得意げな顔でその平らな胸を張って俺を見る。


「えぇ。私は前野真奈美様のストーカーですから」

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