20.ダンジョンにある天然温泉

 モンスター『ハッピーハーピィ』の攻撃を食らい、ルペコは丸裸になっていた。それから、服やら防具をポルカに取ってきてもらい、無事に元通り。


 先へ進むことにした。


「はぁぅ、一時はどうなるかと……」


 肩を落とすルペコはため息をついた。

 まだ顔も赤く、しかもなんだか俺をうるんだ瞳でずっと見つめてきていた。なんでそんな目で俺を見る。

 もしかして、あの『だきっ』と抱きしめたのがマズかったか……。


 うーん。参ったな。心地が悪い。

 なにか話題をそらすものはないか……っと、お?


 このニオイ。もしかして……。



 俺は走り出し、岩場のかげを覗いた。



「どうなされたのです?」


 背後からポルカが追ってくるが、それよりもだ。


 これ、このお湯のニオイ・・・だ。


「おお、やっぱり『温泉・・』だ」

「わ、こんなところに……すごい発見ですね。珍しいです!」



 ポルカも驚いていた。

 で、追いついて来たルペコもそれを見て驚く。シッポがピンとなってる。



「わぁ……! おんせん! 綺麗な温泉だわぁー!」



 あまりに嬉しかったのか、自然と服を脱ぎだすルペコ。まてー!!


「待て、ルペコ。脱ぐなー!! 脱ぐの禁止! ダメ絶対!」



「あぁ! ……いやゃぁぁああああああああ!!」



「今のはルペコの自爆だからな。怒るなよ」

「……わ、分かってるわよ。……だから見ないで!」


 ……やれやれと俺は視線を外し、片手で目をおおった。

 さっきから連続してルペコの裸を目撃してしまっている。肌白いし、ほどよい肉付きでスタイルよすぎだ。なんでこんな可愛いのにギルドから追放されまくったんだか。不思議だね。



「じゃ……じゃあ、俺はあとで入るから、ルペコとポルカは先にどうぞ」



「分かりました。ルペコさんの守護は僕にお任せください!」

「ああ、俺も周囲は警戒しておく。あんまり長くならないようにな。危険なモンスターもたくさん生息しているからな」


 二人に忠告して、俺は少しだけ離れた。

 その際、ルペコが――


「覗いたら怒るからね!」



 とまぁ警告してきたわけだが、するかっ!!!

 俺にそんな破廉恥はれんちなマネが出来るほどの度胸もないさ。というかもう既に満足できるほどのモノをおがめている。これ以上見たらバチが当たりそうだな。



『わぁ、ポルカって体キレイね~』


 お……なんだ、ここ声が響くぞ。この明るい声はルペコ。


『あ、あの……ルペコさんのこそ胸が大きいですよ……羨ましいです』



 ブッ――――――!!



 なんつー会話してんだよ!!


 でも……これは凄い。

 これが普段は聞くことの出来ない禁断の……女子の会話ってヤツか……。



『あ~、ポルカにもシッポはあったんだ。気づかなかったなぁ』

『ええ。ルペコさんと違って小さいので……普段は隠れているんです。……はぁ、イイお湯です。気持ちよくて心がされますね~』


『そうね。どうせなら【1F】ごとに温泉があったらいいのにね~』


 それはそれで面白いかもな。


『そえばルペコって、プラムのこと好きなの?』



 ブッ――――!!



 お、おい! なに聞いてんだよ!!

 俺は割と近くにいるんだぞ!?


『え……。好きですけど」



 ブッ――――!!



『あ……そうなんだ。わたしもプラム大好き♪』



 ブッ――――!!



 まずい…………温泉に入ってないのに、俺が逆上のぼせそう……。顔がアツい…………これ以上聞いていると倒れそうだ。

 あぁもう、ルペコは素直で純粋すぎる。


『プラムって強いし、かっこいいし。それに、わたしを捨てないでいてくれるし。あとあと、大切にしてくれるし~♪ 守ってくれるし~』


 あかんですよ……。

 そんなめられると顔がヤバイくらいにほころぶ。



 うぅ……退散。モンスターでも狩ってこよ……。



 …………今の俺の顔、たぶんかなりヤバイ。

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