16.インフェルノボス

【 ヘルインフェルノ 地下200F 】



 ボス部屋手前。

 まだ『レッドライン』は超えていなかった。あと少し。あの地面に引かれている赤い線をみ越えれば、もう二度と引き返すことは出来ない。


 だが、それよりも次の光景に俺は……



 あの『地獄』以来の……大きなショックを受けた。



「………………リンさん」



 レッドラインの手前からその全貌ぜんぼうが見えつつあった。



 リンたちのギルドメンバーが『全滅・・』していたのだ。

 みんなそこらじゅうに投げ出され……手足が引き千切ちぎられている。また、倒れている者の中には胸に大きな穴があいた者も。これはひどい……酷過ぎる。




 なんだ……この『地獄』は――――――。




 ……いや、リンだけは辛うじて生きている。

 だがもう虫の息。瀕死ひんしだ。



「…………うそだろ」


「え……」


「どうして……」



 俺も、ルペコもポルカも……ただその恐ろしすぎる光景に愕然がくぜんとなった。


 あのリンがボスモンスターのするどい触手に捕まり、まったく抵抗ていこうできずにいた。



「お、おい……ポルカ、あの触手ボスモンスターは…………」


「はい…………本来は地下【6000F】でランダム召喚されている『インフェルノボス』です。インフェルノボスは、通常ボスの三倍・・強いと言われています」


 そう、あれはどう見ても『インフェルノボス』だった。

 そりゃギルドが全滅するはずだ。


 強化もほとんどされていない、そこらの店売り通常装備で勝てるわけがない。



「…………た、たすけ」



「リンさん! くそっ……今たすけ――」



 だが、もう手遅れだった。


 手を伸ばす前にリンは――ボスモンスターの触手で首をへし折られ絶命。それからボスモンスターは大きな口を開け、彼女を丸ごと――った。



 くっ――――!!



 最悪だ………………!



「……っ!! ルペコ、見るな!!」

「え……なになに!? 何が起きたの!? このゴリゴリってなんの音!?」


 俺は、ルペコの視界を手でさえぎった。けど、もう遅いか……。


「まさか……あの人、食べられちゃったの……ねえ、プラム」

「……そうだ。あのボスは一筋縄ひとすじなわではいかないってことだ」



 あの状況では……リンはもう助からなかった……とは言えない。



「プラムさん! あれは『メイルシュトローム』という魔物!

 見た目はかなりいびつで、タコやイカ系のような軟体モンスターですが、あの触手に触れられたら最後……【麻痺】の状態異常を受け、たちまちからめとられ……餌食えじきになってしまいます!」



「そうか、噂くらいは聞いたことがあったけれど……厄介やっかいそうだな。だけど、ヤツを倒さなきゃ先へは進めない!

 いくぞ!! ルペコは『エスケープリーフ』を持ちながら遠く離れて支援を! ポルカもルペコを守りつつ魔法攻撃を頼む。幸いヤツは『水属性』モンスター。たっぷり『雷』を浴びせてやってくれ!」



「わ、分かったわ!」

「はい……!」



 俺は全身【神器】を維持いじしたまま……

 インフェルノボス『メイルシュトローム』へ突撃した――。

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