15.ボス部屋前のレッドライン

  ふと目を覚ますと光がし込んでいた。

 ここ『セーフティゾーン』は、外界と連動しているようで朝になれば明るいし、夕方になれば夕焼けが、夜になれば暗闇が訪れる。



 なんとも規則正しい安全地帯なわけだが、モンスターは一切寄ってこないしなんならとどまればずっと安全。


 だけど、食料問題は発生する。


 そう、人間なにかを食わないと『ハラペコ』の数値が『0』になったそのとき、餓死がししてしまうのだ。



 だから、モンスターを倒しドロップアイテムを出来る限り入手し、どんどん『最下層』を目指していくしかない。その途中にある街でアイテムの売買をして、お金を稼ぐ。そのお金で食料を買うといった感じだ。


 けど、時たまモンスター自体が食料をドロップするヤツもいる。あんまりいないけど、この前の【170F~190F】の間に生息していた『モーギュ』はそんなヤツだった。


 もちろんいざとなれば、帰還アイテムではじまりの街【ギンヌンガガプ】へ『戻る』という選択肢もなくはないけど。


 だけど、戻ってしまえばまた最初から・・・・やり直しだ。

 ……命があるだけいいかもしれないけれど。



「ふぁぁ~…………」



 俺はあくびをしながら、そんなダンジョンの基本原則をルペコに話していた。



「むにゃむにゃ……」



 ……って、二度寝てるし!!


 もう、せっかく教えてあげていたのに。


「おはようございます、プラムさん」

「おはよ、ポルカ。……ん、どうしたんだい、なんか浮かない顔をしているけど」

「はい……実は」


 ポルカは今朝あったことを教えてくれた。


「なに!? リンさんたちが【200F】へ!?」


 なんと昨日、後からやってきたギルドたちがすでに【200F】へ向かったらしい。なんてこった……あの状態で挑むは危険だ。



「止めなかったのか」

「止めました。ですが、気の強い方たちだったので……僕の力およばす止められませんでした」



 しゅんと肩を落とすポルカ。いや、彼女せいではない。

 この場合は、ギルドマスターの判断だ。きっと、リンはメンバーにあおられて仕方なく降りたってところだろう。その光景が目に浮かぶ。


「大丈夫かな……。昨日なんだか随分ずいぶん疲れているように見えたし」


「はい……ちょっと心配です。ただ、様子を見に行こうにも『レッドライン』を超えたらもう戻れないですから……」



 ポルカの言う『レッドライン』とは、この『セーフティゾーン』の境界線みたいなもので、それを超えると強制的にボス部屋に入ることになる。

 一度入ると、もう二度と戻ることは出来ない。

 だから【100F】ならまだしも、それ以降は入るにしても万全にして、相当な覚悟を決めていかねばならない。



 だからこそ、この『セーフティゾーン』が存在する。



「おはよー…。うーん。二人とも怖い顔してどうしたのー」


「お、おはよ。ルペコ……すぐ準備をするんだ」

「え~? すぐ~? 分かったわ。じゃ、すぐ準備しちゃうわね」



 ◆



 支度が出来たようで、ルペコは可愛く敬礼していた。


「おけー! じゃ、出発しましょ」

「よし、こっちだ」


 俺たちは【200F】のボス部屋に向かった。

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