11.オーバー精錬とは

 宿屋で一泊し、翌朝。


 まぶしい朝を迎えた。

 ここ、地下ダンジョンだが『太陽』があった。正確にいえば、あれは『聖なる光』だとからしいけど……『光』の正体など詳しい事は分からない。


「おはよー、ルペコ、ポルカ」


「おはよ~…」

「おはようございます。空気が新鮮ですね~」


 ルペコなんだか眠そうだ。目をこすり、ボケボケしている。ひょっとして、夜更よふかししていたんだろうか。対するポルカはキリッとして肌もツヤツヤだ。健康的だな~。



「ルペコ、どうした」

「うん、ちょっと悪夢をね。なんか変な夢だったけど」

「夢か。どんな夢だったんだ」


「なんて言ったいいのかな。ほら、これから【200F】へ行くでしょ。そこで、ボスモンスターにやられて全滅しちゃうの。そんな嫌な夢。はぁ~…サイアクね」


 なんだか落ち込むルペコ。耳がれているな。うーん、元気づけてあげたいところだけど、そうだ、こういう時は朝ごはんを食べればいいさ。


「よし、みんな。朝食いこっか」

「ほんとー!」


 お、元気になったな。


「この黄金の街・イザヴェルは、美味しいものもたくさんありますよ~。とくに『プリプリタコス』は絶品ですよー。僕はもうみつきで」


 えへへと笑うポルカは、俺に期待の眼差まなざしを向けてきた。あー、行きたいんだ。でもいいね、それは気になるし。こう、『プリプリ』っていうのが刺さった。ていうか、『プリプリ』ってなんだろう?



 ◆



 出店に向かって、『プリプリタコス』を買った。


「おいひー!!」


 モグモグ必死に食べているのは、ポルカだった。

 へ~。あんなハイテンションだなんて珍しいなぁ。いつもは礼儀正しく冷静なポルカがあんなになっちゃうなんて、食べ物の力はスゴイ。


「でも、本当においしいね~。ちょっとピリ辛なのもポイント高いわ」

「そうだな、ルペコ。具沢山ぐだくさんでボリューム満点だし、食感が本当に『プリプリ』してるよ。これは値段以上だと思う」



 おかげで『ハラペコ』も回復。全員、お腹いっぱいだ。


 これなら、一気に地下【200F】まで降りれるだろう。


「よし、美味しいものも食べられたし、そろそろ出発するか」

「サンセー!」

「僕もです♪ あ、でも、プラムさん。精錬するんじゃなかったんです?」


 あ。


 そうだった。


「美味しいもの食べてたら、忘れてた……。そうだった! 俺、【オーバー精錬】したかったんだよな。みんな、悪い。もうちょっと付き合ってくれないか」


「おーばーせいれん?」


 首をかたむけるルペコは、なにそれとハテナ状態だった。やば、あの角度は卑怯ひきょうだろう。……か、かわいい。

 ちょっとお持ち帰りしたくなるようなルペコのポーズを脳裏のうりに焼き付け、俺は説明をはじめた。


「武器や防具は普通、『+10』まで精錬できる。これは、たぶんルペコも知っていると思う。だよな?」


「うん、それはさすがに」


 良かった。

 さすがに初めから説明するのは面倒だった。


「じゃあ、基本ははぶくとして。

 【オーバー精錬】はね、ある特定の街でなおかつ『サクラニウム』という鉱石アイテムがないと出来ない精錬なんだよ。その鉱石があれば、最大『+20』まで精錬可能なんだ。この数値が高ければ高いほど、武器の威力も変わってくるし、防具の場合、防御力も上がるから受けるダメージも減るんだよ」


「へー! 強くなれるってことなんだね」

「そ。単純に言えばね」


 ルペコは納得したようで、うんうんと頷いていた。

 本当に分かってるのかなぁ?


「ちなみに、【オーバー精錬】は、数値が高くなるほど成功率も下がりますよ。なので、よく考えて精錬しないと、武器・防具を消滅させてしまう可能性もあるので、行う際は慎重に、ですね」


 と補足をくれるポルカ。

 なるほど、ポルカも【オーバー精錬】は経験済みってことか。



 俺たちは【鍛冶屋】へ向かった。

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