08.ギルド勧誘

 ポルカの住んでいた家に向かった。


 だけど、家は『風化ふうか』しており、ほとんど原型をとどめていたなかった。


「あちゃ~…。やっぱり」


 頭を押さえるポルカ。

 案の定って感じで、そんなに驚きはないようだ。


 まあ、なんとなく俺もそうは思ったけど。



「ねえねえ、どうして建物が『風化』しちゃうの?」


「いい質問です。ルペコさん。

 この地下ダンジョンでは、建物の劣化が激しいんです。詳しいことを説明すると、長くなるのではぶきますが……ですから、定期的に建築素材で補強しなきゃいけないんです。なので、放置していると、このようにバラバラになってしまうんですよ~」



「へえ。はじめて知った。家って維持いじするのも大変なんだ」



「ええ。ですが、完全に崩れ去ったわけではないので……うーん。そうですね、小屋くらいなら即席で作れそうですが。けど、それなら、宿を取った方が快適だと思われます。どうしますか、プラムさん」



 小屋か。寝るのには辛そうだ。



「まあ、お金はだいぶ貯まっているし、宿にしよう」


「はーい」

「賛成です」


 ふたりとも小屋は避けたいようだ。そりゃそうだよね。



 ◆



 宿屋へ向かう途中、女の子とぶつかった。


「うわ! ごめん!」


「いえ……私の方こそ前をよく見ていませんでした。その、ごめんなさい。……あ、もしかして、プラムさんですか!?」


「え……俺を知ってるの?」



「はい! プラムさん、あなたはちょっとした有名人ですよ。だって、全身が【神器】だって噂が。……あの、良かったら、ウチのギルドに入りませんか!

 私『リン』という名前で、ギルドのマスターをやっているんです。あなたのような強い人だったら大歓迎ですから!」



 ……まさかの、黒髪の清楚せいそな女の子からギルド勧誘!


 しかも、ギルドマスター。


 名前は『リン』さんか。カワイイ名前だなぁ。その名の通り、近くで見ると顔立ちがリンとしていてどこか勇ましいというか、頼り甲斐がいはあるって感じだった。

 人は見かけによらないね。


 ちなみに、俺、今まで一回も誘われたことなかったけど。

 いつそんな噂が広まったんだろう。



「おっと」


 ルペコとポルカの視線が、ちょっとばかり痛くなってきた。


 リンさんを傷つけないよう、うまく切り抜けよう。


「えっと……ごめん。俺もギルドマスターでね。今は、このコたちとダンジョン攻略しているんだ。せっかくのお誘いだけど……でも嬉しかった。ありがとね」


「……そうでしたか。そちらのルペコさんは『毒ヒーラー』で有名で、確か聖女さんですよね。でも、よく捨てられてるのを見かけていましたので……てっきり、彼女はソロかと。……あ、失礼。私、そんなつもりはなくて……」



「うん、じゃあね」



 俺は、女の子をスルーした。


 ……そっか、人は見かけによらないな。



 少し歩いたところで、


「ルペコ、気にすんな。って、めっちゃ落ち込んでるー!」


 猫耳がしおれてヘニョヘニョになっとる。


「…………はぁ」

「おいおい、そう気にむな」



 俺ははげますつもりで、ルペコをでた。

 ……うわ、すごい。言葉では言い表せない感触だ。猫耳ホンモノー!



「そうですよ、ルペコさん! あなたは、世界でたったひとりしかいない貴重な『毒ヒーラー』でしかも聖女なんです。胸を張っていいんですよ。だって、ボスモンスターにだって効いたんですから。これは、とても凄い事です。もしかしたら、地下【8000F】のボスにも……」



 ん――地下【8000F】だって?


 それには聞き捨てならなかった。

 バカな、俺ですら到達していない未踏みとうの階層だぞ。


 まさか、このポルカ……俺以上に、地下ダンジョンを攻略している……?



 う~ん……。


「あ……あの。プラムさん。なぜ、そんな難しそうな顔で、僕の顔を見つめるのですか……ちょっと怖いです」


「悪い。なんでもないよ。さて、宿屋着いたな」



 なんだかんだ、宿屋【セスルームニル】へ着いた。

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