03.本当は強力な毒攻撃

  俺は偶然出会ったダメヒーラーの『ルペコ』と共に、更にダンジョン奥深くへと降りていった。



 現在――



 【 ヘルインフェルノ - 地下20F 】



 俺は、ルペコに『ギルド』に入ってもらったついでに、『パーティー』にも加入してもらった。そうすれば、【獲得経験値】が『公平』にできるからだ。



 これは例えば、俺がモンスターを倒したとする。



 『100』の経験値を手に入れたとすれば、この場合、パーティは二人なので、『50』が分配ぶんぱいされるというわけだ。


 幸い、この『公平』は、レベルの制限もない。だから、自分が『Lv.100』だろうが、仲間が『Lv.1』だろうが関係ない。高レベルの者がいれば引っ張ってもらえるということだな。そんなスパルタを今行っていた。



 だから、俺がモンスターを倒すごとにルペコのレベルは気持ちいくらいにバンバン上がっていた。もちろん、俺のレベルも。



「今レベルいくつだ? ルペコ」


「えーっとね、今は『32』ね。スキルも少し覚えたわ! 今度こそちゃんと『ヒール』も出来るわよ」



「お、そっか。それは助かる。じゃあ、試しにやってみてくれ」

「うん」



 ルペコはかまえ、俺に向けて『ヒール』を発動した。



「おお……回復――してねえええッ!!! ギャアアアアアア!!」



 やっぱり『ドク』だった。



 あー…。やっぱり、だ。



 コイツ――【毒ヒーラー】だ。

 どうしたら、そんな毒々どくどくしくなれるんだか。



「だ、大丈夫!?」

「大丈夫じゃない……。ルペコ、どうして『ヒール』が『ポイズン』になってしまうんだよぉ……!」



「ど、どうしてだろう。……あ、プラム! モンスターよ!」



「うわ、ネズミモンスターの『チュータロウ』か! あれくらいなら大丈夫ぶあああ……毒があああああ」



 しまった。

 俺に【神器】があるとはいえ、治癒の発動率は『30%』だ。

 どうやら、効果をスルーしてしまったようだな。引きが悪い。



「くっ……。ルペコ、すまん……」

「ちょ、そんな! プラム! プラムってば!!!」



 ――――俺は、意識を失った。



 ◆



「――――はっ。ここは、どこだ?」



 目を覚ますと、知らない顔がのぞいていた。


 えっと……


「キミは誰だい? ルペコじゃないな」


「気づきましたか。よかった。僕はポルカ。商人兼魔法使いで――【マーチャントウィザード】という変わったジョブですけれど、よろしくお願いしますね」



 彼女――『ポルカ』っていうのか。


 アレは……ウサミミ?


 ポルカと名乗る少女には『ウサミミ』があった。



「えと、ポルカ。俺を助けてくれたのか」


「はい。たまたまこの階層にいたんですけどね。

 通りかかったら、誰かが『チュータロウ』にまれているじゃありませんか。だから助けました。しかも、あなたは『非常に強力な毒』を受けていたみたいですね」



「――あ、そうそう。俺、ルペコから毒を食らって――それで」



 あれ、ルペコは!?



「ご、ごめんなさい……」



 よく見ると、安全地帯のすみの方にいた。

 すげぇ申し訳なさそうに。


「ルペコ! 無事だったか……良かったよ」

「本当にごめん、プラム。わたし、わざとじゃなくて……」



 めちゃくちゃ落ち込むプラム。ああ、あんなに耳とかシッポがしょげてる。うーん、確かに死にかけたけどね。けど、誰にだって失敗はあるさ。



「いいよ。このコが助けてくれたみたいだしね。ありがとう、ポルカ」


「いえいえ。僕は当然のことをしたまでですよ。あ、そうだ。良かったらこれ、食べてください。お腹空いていますよね」


 そう、ポルカから差し出されたのは食料アイテムの『ミートパイ』だった。



「うあぁ、うまそー!」



 もちろん、俺はそれを見て『ぎゅるるるるる~』とお腹が鳴った。

 ――『ハラペコ』だ。



「い、いいのか。ダンジョンでは食料は貴重なのに」

「はい、どうぞ」


 俺は『ミートパイ』を受け取り、口にした。



「うまー! めちゃんこ美味いなこれ。……あれ、ルペコは食べないの?」


「……う。だって……。ううん、わたしはお腹空いてないもん」



 が――『ぎゅるるるるるるう~~~』と、俺以上にお腹を鳴らしていた。



「あ…………」



 お腹を押さえて、顔を真っ赤にするルペコ。



「なんだ、お腹空いているんじゃないか。ほら、こっちおいで」

「……うん」


 俺の隣にやってきて、ルペコは『ミートパイ』に手を伸ばす。

 そして、口に入れた。



「……おいふぃぃ」



 なんで、泣きそうになってんだか。



「もう、プラムって優しんだね。嬉しくて泣きそう」



 もう、既に泣いとるがな。



「あのー、もし良かったら、僕もついていきましょうか?」

「え!?」


 いきなり提案するポルカ。

 おお、『マーチャントウィザード』が仲間とか心強いな。



 しかも、滅多にお目に掛かれない、スーパーレア職。

 俺はずっとダンジョンにこもっているが、今初めて目にしている。



 うん。



 まともな支援はできないが、ルペコの強すぎる『毒』攻撃。



 ポルカの商人と魔法使いを両立した万能職。



 ひょっとして、ひょっとすれば――



 この二人がいれば、最強かもしれない。




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