01.100回目の転生

  【99回目の転生】



 世界各地のあらゆるダンジョンを巡り、激レアな武器・防具を集めていれば全身が【神器】になっていた。けれど、超難関の地下ダンジョン【ヘルインフェルノ】だけは全くクリアできる気配がなかった。



「くそ……。これだけ【神器】があっても厳しいのか……!」



 地下【7651F】に俺――『プラム』はいた。



 ――が、偶然ぐうぜんにも遭遇そうぐうしたこの階層最強のトラ系モンスター『ゲキオコタイガー』から【アッパー】の会心かいしんの一撃をらい、



 俺はワンパンで死亡した。




 【100回目の転生】



 これで、とうとう記念すべき『100回目の転生』になった。

 不思議なことに、死亡しても全て・・の最強装備――【神器】だけはそのまま引き継げていた。実のところを言えば『あるスキル』が関係している。



 転生することにより、レベルやらステータスはリセットされてしまうが、【引き継ぎ】の能力がある故に、自身の強さを維持いじできていた。

 おかげで不便はまったくといってない。



 ――しかし、ダンジョンは超高難易度。

 永遠のソロ・・ではまともな回復はできないし、所持できるアイテムには限界があるし……『ハラペコ』にはなるし、非常に困った。



 悲しいかな、これがソロの限界ということだ。



 ――そんな時、ふと【ギルド】という三文字が目に入った。



 ここ、はじまりの街というか【セーフティゾーン】と呼ばれる地下ダンジョン前、実質【0F】の街【ギンヌンガガプ】では、そういうギルド募集とかパーティメンバーをつのったりが盛んだ。



 どこを見ても人だらけ。

 ガヤガヤとにぎわっている。



 ギルドに勧誘され、加入しようとしているエルフの女の子。

 パーティに誘われている魔法使いの女の子。

 ナンパされている忍者の女の子。



 …………あぁ、見ているだけで目が痛い。けたくなる。どうして、どいつもこいつも『女の子』を積極的に誘っているんだかね。



 そりゃ俺だって可愛い娘とパーティを組みたいさ。

 けれど……俺はあいにくの永遠のソロ。ぼっち。



 しかも――コミュしょうときた。……うん、ムリ。不可能。




「はぁ……。またひとりで攻略すっかぁ……レベル上げしんどいな」




 深いため息じりに、俺は地下ダンジョンへ向かおうとした。



 が……!!



 突然、空から『女の子』が降ってきた。



 なぜにィ――――――!?



「うあぁぁぁぁあっ!」



 俺は誰かにし掛かられ……地面に倒れた。



「いってえええええ……!」

「いたたたたた……なによ、もー!」



「それはこっちのセリフだ! なんだキミは……って、うわ!」


「――はっ! あ……あなた、今見たでしょ!」



 恥ずかしそうにスカートを押さえる女の子は顔真っ赤にして、俺をキッとにらんでいた。そんな殺すような目つきはヤメテいただきたい。



「…………み、みてない」



「え、声ちっさ! まあいいわ。わたしは『ルペコ』よ」


 猫耳ネコミミ尻尾シッポを生やした女の子は『ルペコ』とそう名乗った。黒いワンピースが可憐でカワイイ。


 いやしかし、見惚れている場合ではない。


 猫耳少女ルペコは怒っているようだ。

 ん……いや、あれは元から釣り目なのか。



 ……それにしても。

 あの猫耳はホンモノ? 動いてるし、やっぱりホンモノか。



 なんか小柄で、可愛い娘だなと俺は思った。



「これでも聖女・・で『ヒーラー』なの。

 今からまた【ギルド】に入ろうかと思ったんだけどね。でもね、なぜかギルド追放っていうか…………直ぐ捨てられちゃうのよ~…はぁ」



 肩を落とし、溜息ためいきをつきながら、そう悲しい過去を話すルペコとかいう少女。シッポが垂れ下がっているところを見ると、なんだかワケありだな。



「……そ、そうか。じゃあね」



 逃げようとしたら、首根っこをつかまれた。


「うわ! な、なにする!?」

「あんた、ソロでしょ。ぼっちよね? 誰か待っている感じでもないし」


「……う。そ、そんなワケないよ。友達くらい…………いない」

「声が小さいわよ? 語尾はまったく聞こえなかったけど……じゃあ、とりあえず、わたしとパーティ組みましょ!」



 ……マジか。

 けれど、確かにこの女の子……えっと『ルペコ』はヒーラーだ。見た目とか雰囲気で分かる。なので役に立つかもしれない。回復役ヒーラーがいるだけで、ダンジョン攻略の難易度は、ガラリと変わるし。

 ただ、そんな大役がなぜ追放されまくっているのか、そこは気掛かりだ。


 なにせよ、組んでみれば分かるか。



「わ……わかった。臨時パーティってことでどうだい」

「サンセー! じゃ、よろしくね。えーっと……」



「プラム。それが俺の名前だよ」

「プラム? ヘンな名前ね」



「……う、うるさい。これは海より深い理由ワケがあるんだ……」

「だから、声ちっさ! うまく聞こえなかったけど、まあいいわ」


「じゃあ、行くぞ」

「どこへ?」


「いやだから、ダンジョンだよ。地下の【ヘルインフェルノ】へ」


「あ、そか。じゃ、レッツゴー!」



 かくして俺は、『ルペコ』と出会った。

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