第92話 撲滅運動
柚月「光希さんもタイミングが悪いな・・・。こんな時に実習だなんて。」
まこ「ううん、こんなタイミングだからこそ光希は引き寄せられたんだよ。」
柚月「そっか。確かにそうかもしれないね。」
『きっと、譲さんが光希さんを見守ってくれているはず』
そう。譲さんが光希さん託した夢の一つ・・・。
『どうか、いじめの無い生活を』
そして、引き継がれたこの想いは、あたし達みんな同じ気持ちのはず・・・。
まこ「さて。こっちはこっちでやりますか!」
柚月「いざ、参りましょう。」
その名も『いじめ撲滅運動』開始。
何もしないで指を加えて見ている人、知らぬ振りをする人。
いじめには参加していないが、見て笑っている人。
そして。
いじめをする人達に伝えたい。
『明日は我が身』
この言葉がある事を・・・。
それから、廉と大地君は三時間目の授業が始まっても姿を見せる事はなく・・・。四時間目。
授業が始まってすぐの頃、教室のドアが勢いよく開き、二人が姿を現した。
廉 「はいはーい。俺様に注目してー。」
柚月「廉、今授業中だよ!?」
廉 「どうせ居眠りこいてる奴ばっかだろ。ほら、オメーら全員こっち向けよ。」
日本史担当の先生は当たり前の如く廉に激怒。
「早く席に座りなさい!!」
でも、先生の声に微動だにしない廉。
雰囲気からして、あからさまに分かり過ぎる・・・。
廉はかなりのご立腹だ。
大地「廉君、もういいってば!!」
廉 「オメーはすっこんでろ。みなさーん、これなんだと思いますか?」
廉が目の前に突き出した物。
それはザクザクに切り刻まれた制服の残骸・・・。
柚月「何これ。酷い・・・。」
廉 「なぁ、先生。これってどうなの?授業なんかどうでもいいから今すぐ全体会議開けよ。」
まこ「柚月っ!!」
柚月「まこ!?」
まこ「やっぱりっ・・・!廉君全クラス回ってきたんだね。」
柚月「全クラス?」
まこ「廉の行動を嗅ぎ付けた先生達も間も無くここに・・・」
『松澤っ!!何やってんだ!!』
学年主任を筆頭に、他の学年の先生が数人、そしてその中には光希さんの姿もあった。
廉 「何やってんだって?見りゃわかんだろ。制服をこんなにした犯人を探してんの。分かる?これ制服!!理解出来ねーなら黙って聞いてろボケ。」
柚月「まこ、廉大丈夫かな?」
廉 「廉君は馬鹿じゃないから、何かもう掴んでるんだよ。」
こんなにも怒りを露わにしている廉は初めてだった。
そして、あたしもまこも気付けなかった重要な「鍵」を、廉はいとも簡単に見破っていた事・・・。
ただただ凄いとしか思えなかった。
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