第79話 思い出話
廉 「俺、やっぱり父さんみたいにはなれねぇや。」
結芽「えっ!!あんた、拓みたいになりたかったの!?」
廉 「憧れてた。だって「百人乗っても大丈夫」って言ってたし。」
結芽「まんまCMのパクリじゃない。」
廉 「・・・でも、俺は俺の生き方で幸せにしたいと今は思ってる。」
光希「ようやく気づいたか。それでいいんだよ、廉。」
廉 「だからさ、柚月。」
柚月「何?」
廉 「結婚しちゃおうぜ。」
結芽「そういうアホな所が拓に似てんのよっ!!」
ガヤガヤとした車内。
あたしの視界にふと光希さんの姿が入り込んできた。
笑いながらも、こぼれ落ちる涙を何度も何度も拭いとる姿・・・。
誰にも悟られぬ様、心の中で譲さんとの想い出の日々を振り返り、現実を受け止めようとしているのだろう。
柚月(ハンカチあったかな・・・ん?)
柚月「あーっ!!」
まこ「ビックリしたぁ。どうしたの?」
柚月「あ、いえ。後でいいです。」
廉 「しいとりしようぜ。」
結芽「いいねぇ!!じゃぁあたしからね!!「おっぱい」!!」
まこ「・・・またですか(笑)」
廉 「次俺ね、「いつまでも一緒にいたい」はい、柚月。」
柚月「あたし?「イルカ」」
廉 「はい俺。「軽い気持ちじゃない位大好き」はい、柚月。」
柚月「何これ?またあたし?・・・「きゅうり」」
廉 「「理屈なしで一緒にいたい」はい、柚・・・」
結芽「「いい加減したい」」
まこ「ぶっ(笑)」
廉 「お、思ってねーわっ!!ふざけんな!!」
悲しみの後のくだらない会話。
きっと、みんな光希さんの事を気遣っての事だろう。
大切な仲間だからこそ、支えてあげたい。
そんな想いが車内に温かく広がっていた。
そして、あたしは・・・。
『譲さんとの最期の約束。』
あの日からずっと、鞄の奥底で眠らせていた。
手にする日が来ない事を信じていたもの・・・。
柚月「光希さん。」
光希「ん?」
柚月「後で、ちょっとだけいいですか?」
この後、結芽さんの家に」到着したあたし達。
それぞれがホッと一息をついている間、あたしは光希さんを廊下へと呼び出した。
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