それがぼくらのアドレセンス

作者 酒田青

痛みの記憶は消えない。

  • ★★★ Excellent!!!

15歳の4つの物語から成る本作は世界との不和を抱える少年少女たちによって語られる。
ドーム型都市に住む少年、衆人に見られエンターテイメントとして消費される少女など。
どのキャラクターも問題を抱えつつも必死に生きている。彼らを愛おしいと感じる。それは巧みな心情描写によって構成され、読者の心に深く根を下ろす。その結果、彼らを待ち受ける運命には苦痛を感じざるを得ない。この世界には救済がない。それがもしあるとすれば、それは青年期を超えた大人の世界なのだと納得するしかなかった。
このやりきれなさは世界を破壊し、そして回復するというダイナミズムによっても表現されている。
世界を壊すまでに青年期の苦悶が激しいとまでは言えないが、それは胸に残る痛みとして永遠に刻まれるのではないだろうか。

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