パワハラ聖女の幼馴染と絶縁したら、何もかもが上手くいくようになって最強の冒険者になった ~ついでに優しくて可愛い嫁がたくさん出来た~
《聖女パーティー》エルマ視点19:何してくれてんのよおおおおおおおっ!?
《聖女パーティー》エルマ視点19:何してくれてんのよおおおおおおおっ!?
豚のローリングアタックで何故か結界を破ることが出来てしまったあたしたちは、風の女神――トゥルボーさまの御前へと躍り出てしまっていた。
当然、向こうからしたら不審者がいきなり結界を通り抜けてきたわけなので、そりゃもう警戒心ばりばりの〝一歩でも動いたら殺すぞ〟感が半端なかった。
なのであたしはこういう時のために培ってきたと言っても過言ではない聖女ムーブで恭しく跪く。
「お騒がせして申し訳ございません。私は聖女エルマ。《剣聖》のスキルを賜りし者でございます。そしてこちらは付き人の豚……ポルコにございます」
未だぐるぐると目を回しているポルコも一応紹介しておく。
てか、危ない危ない。
危うく豚を豚呼ばわりするところだったわ。
「それでその聖女たちが一体我になんの用だ? 断りもなく我が領域内に踏み込んでくるなど無礼千万であろう」
ごごごごごっ、と子どもたちを下がらせながら睨みつけてくるトゥルボーさまに、あたしは内心冷や汗がだらだらになる。
な、なんなのよこの女神さま!?
テラさまと違ってめちゃくちゃ怖いんですけど!?
てか、断りもなく踏み込んでいったのはあたしじゃなくてこの豚よ、豚!?
なのになんであたしが怒られなきゃいけないわけ!?
あーもう早く起きてあんたも謝りなさいよね!?
内心豚をビンタで叩き起こしたい気持ちでいっぱいのあたしだったが、そこは努めて冷静に頭を下げる。
「……誠に申し訳ございません。どうにかトゥルボーさまにお会い出来ないものかと結界の外で思案していたところ、偶然抜け道のようなものを発見してしまい、居ても立ってもいられなくなってしまいまして……」
「ふむ、まあよい。どうせ貴様らもテラのやつに聞いてきたのだろう? 貴様からはテラの力を感じるからな」
それってあの《完全受胎》のことじゃないわよね?
出来れば思い出したくもないんだけど。
「はい、仰るとおりにございます。こちらにイグザさま率いる聖女の方々がいらっしゃったと聞き、そのお力になるべく旅を続けている次第です」
まあ本当は〝聖女エルマ、女神への旅路!〟みたいな感じなんだけどね!
馬鹿イグザが泣いてあたしと別れたことを後悔するくらい、超絶的な女神になるのが目的だし!
「ほう。それでこの我になんの用だ? 見てのとおり、我は今とても忙しくてな。貴様らに構ってる暇などこれっぽっちもないのだが」
そう言って、トゥルボーさまが子どもたちに右に左に腕を引っ張られる。
よほど子どもたちに人気があるようだが、あの子たちはトゥルボーさまのお子さまか何かなのだろうか。
それにしては随分と人間味が溢れているというか、ぶっちゃけみすぼらしいというか……。
「そ、そこをなんとかお時間を作ってはいただけないでしょうか?」
「無理だな。我には子どもらと戯れるという大事な役割があるのでな」
「そ、そんな……」
くっ、何か手はないの!?
このままじゃ本当に追い出されかねないじゃない!?
せっかくここまで来たのに……っ、とあたしが唇を噛み締めていた――その時だ。
――ぷ~~~~っ。
「「……」」
響く空気音と――凍りつく空気。
あたしはぷるぷると驚愕の表情で空気音を発したであろう豚に視線を送る。
「いやはや、もう食べられませんよ~……むにゃむにゃ」
ぽんっ、とお腹を叩き、やつはこの状況でまどろみの中にいるようだった。
「……」
いや、〝ぽんっ〟じゃないわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!?
てか、このタイミングでおならするうううううううううううううううううっっ!?
当然、あたしは一人真っ青な顔になっていたのだった。
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