第4話  なにこれ、ラブコメ?

 目が覚めたら目の前に美少女がいました。

 黒髪で穏やかな目つきでこちらをジッと見てくる。

 か弱そうな雰囲気とは逆に主張が激しい胸が目の前にある。

 別に?興奮はしてないぜ?

 なぜなら

 目の前にいる美少女は実の姉なのだから。

 姉に欲情する弟がどこにいるかっての。姉がメインヒロインの小説じゃあるまいし。

「姉さん」

 目の前で日傘をさして立っている姉さんに尋ねる。

「何」

「今なんと仰いまして?」

「だから…もう七時間目だよ…って」

「七時間目か……」

 俺、六時間目さぼっちゃったみたい。てへっ!

 まあ俺主人公だし!許されるよね!

 ごめんなさい調子乗りました。

 ん?七時間目?

 じゃあなんで目の前に姉さんがいるのだろう。まさかさぼってるとか

「その…たまたま美術室から屋上見たら洸が、いて」

「いて?」

「私も屋上で、洸と、寝たいなーって」

「姉さん知ってる?」

「何を?」

 日傘を閉じて俺の左隣に座る。

「授業ってさぼっちゃダメなんだぜ?怒られちゃうぜ?」

「洸ダメじゃん。怒られちゃうじゃん」

 そういえばそうだ。

「怒られるときは姉さんも一緒にね!姉さんは俺とずっと一緒にいたいらしいから」

 俺クズだなー。

 あ、そういえばいつもの姉さんに戻ってる。

「そういや昨日の夜よりテンション低いね姉さん」

「昨日は、興奮しすぎて…これがいつもの……ってか知ってるでしょ」

「うん、まぁ」

 一応ね?

 こんなゴミ小説読んでくださる読者様のために一応説明。

「七時間目ってさあと何分で終わるの?」

「わからない。でも」

「あのーお姉さま?」

「ずーっとこうしてたい」

 俺の左手を握る姉さん。

「時よ止まれー」

「時止まったら家に帰れないのですが」

「お休み。魔王城で」

「魔王城はいりませんねえ」

 俺の方に体重をかけて目を瞑る姉さん。

 …………。

 姉さんって黙ってれば可愛いよな。いや黙ってなくても可愛いが。

 ………。

 って何考えてんじゃ俺。

 クソっこうなったら!

 ノンレム睡眠レム睡眠ノンレム睡眠レム睡眠ノンレm

 さっきのことを忘れるために別のことをするんだ!

 あーやべ今期の「ま」から始まって「み」で終わるアニメのOP歌ってたら眠くなってきたわ。

 俺も寝るか。

 欠伸をする。目を瞑って姉さんの方へ体重をかけないように、姉さんが体勢を崩さないように配慮しながら姿勢を作る。

 お休み読者の皆様。








 いやちょっと待て。

 学校の鍵が閉まる前までに俺らが起きなかったらどうなる。

 春って言ってもまだ夜は寒い。

 こんなところに一晩いたら死ぬぞ?姉さんが。

 しょうがない。

 まだ寝ててーよーって言ってる不真面目な感情くんをゴミ箱にポイして目を開ける。

 日が傾き始めていた。

 日中よりもほんの少しだけ寒くなってきている。

 気持ちよさそうに寝てる姉さんを起こさないよう学ランを脱いで姉さんに掛ける。

 やば!今の俺超主人公してね?

「ちょっとまって距離が近すぎですーお姉さーーん」

「うお!びびっくりしたー」

 突然姉さんが寝言を言った。

 ってかなんやねん距離が近すぎですお姉さんって。

 それ俺が言う台詞じゃね?

「ザ・ワールド」

「…………」

 姉さんは夢の中でも時を止めたいらしい。




 何分経ったのか。グラウンドから野球部の集団走の掛け声や吹奏楽部の楽器の音が聞こえてくる。

 姉さんが寝てから今まで屋上に人は来なかった。

 さすがご都合主義。

「んん……おはよう洸…なにこれラブコメ?」

 体勢が崩れて俺の太ももを枕にして寝てた姉さんが起きる。

「これはラブコメじゃないよ。これはクソ雑魚作者が書いたつまらない小説ですよ」

「ちょっとなに言ってるかわからない」

 姉さんは起き上がる。

「あ、学ランありがと」

「ん」

「今何時?」

 綺麗なオレンジ色の夕焼けを見る。

「わからないけど、部活は始まってる」

「いま五時だって」

 姉さんはスカートのポケットからスマホを取り出して見る。

「スマホ持ってたんかい」

「じゃあ帰ろっか洸」

 立ち上がって近くにおいてある日傘を手に取り僕に右手を差し出す。

「ちょっと待って姉さん」

「ん?どしたの?」

「あ、足が足がしびれて動けない」

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