第2話 別に、意識してねーよ!!

「はぁ…」

 湯船に浸かりながら一時間前のことを思い出す。

 『私、洸の事好き』

 『キスしていい?』

 『もっとナデナデしてほしいな』

「ッ!!あああああああああ!!!!!」

 なんで相手が姉なんだぁぁぁぁ!!

 ここは隣の席の可愛い女の子とかだろ?

 作者がシスコンだからか!?

 相手は可愛い五つ子とか野生のバニーガールでいいでしょ!

 ………ってか俺も俺でなんで姉さんにドキドキしちゃったんだよ。

 出よう。

 湯船から立ち上がって出ようとした時、突然お風呂場のドアが開いた。

 そこに立っていたのは、

「え?なんで洸いるの?」

 姉さんは赤くなってその場に立ち尽くす。

「それはこっちのセリフだ!」

「ってか早く隠してよ姉さん!」

「え?あうんごめん」

 姉さんは体の前側をタオルで隠してお風呂場へ入って来た。

 入れ替わるようにして俺が出ようとすると、

「せっかくだから一緒に入ろ?」

 ガシッと腕をつかまれ、

「は?えちょまっ!」

 姉さんは抵抗する俺を引きずってお風呂場へ戻す。

 あれ、姉さんってこんな力あったっけ……ってそんなこと言ってる場合じゃない!

 体が勢いよく湯船に入りドボンっと水柱が立つ。

「あっっっっつ!!!!!ちょっと姉さん!!」

「ちょっと…恥ずかしいから…こっち見ないで……」

 後ろを向いて恥ずかしがる姉さん。

「いや入れたのは姉さんだろ!ってか姉さんの体何て見るかっ!!」

 勢いよく後ろを向く。

 視界に広がるのは白いタイル。

 これで姉さんは見えない。

「………」

「………」

 姉さんがただ体洗ってるだけなのに妙に緊張する。

 その間シャワーの流れる音だけがお風呂場に響く。

 緊張で頭が回らない。

「ねえ」 

「なっ何どしたの姉さん?」

 姉さんが沈黙を破る。

 突然のことで俺の声が少し上ずってしまった。

「せ、世間話…しよ」

「なぜここで世間話」

「なんか緊張して………今日は天気がいいですねー太陽が」

「今、夜なんだけど」

 窓越しで外を見たけど夜だ。

「……そういえば今日は学校どうでした?」

 母さんみたいなこと聞いてきたよ。

「いや普通ですけど。友達と喋って勉強して」

「そうですか」

「………」

「………」

 会話が終わった。

 いや短すぎ!

「そ、そうだ!…あの…そろそろ私たち結婚しませんか?」

「っ!は、はぁ?なんでえ、は、けっこ」

 あのさっき告白されて…ってかまだ俺ら付き合ってないけど…。

 いやいやいやそれ以前に俺ら姉弟!!!

「結婚って姉さん…俺ら姉弟だよ?」

「うんそうだけど…ダメ?」

「ダメ?ってそんな可愛く言っても法律で禁止さr」

「隠れてすれば問題ない!」

「大ありです」

「えーこんなに好きなのに!」

「ッ!……その好きって家族として」

「セ〇クスしたいのほうの…性的な意味で好き」

 言い直してもアウトです。

 ってかちょっと待て俺ここで姉さんに襲われちゃう?

 いやいやいや落ち着け俺!!

「ちょっと洸少しスペース開けて私が入れない」

「!?!?」

 姉さんが立ち上がって湯船に入ろうとしてくる。

 姉さんに大きい胸がちらっと見えたのは気にしない気にしない。

 うん落ち着け?俺。

「俺出るよ、あとはごゆっくり」

「まって」

 俺の右足をつかんで湯船に引き戻そうとする姉さん。

「離してください」

「なんで?姉弟なんだしいいじゃん」

「離してください」

「なんで?あ、わかった緊張してるんだ!私の事意識してるんだ!」

「!!!!別に、意識してねーよ!」

「じゃあ入って」

「断る」

「意識してるんだー」

「ちっわかったよ」

「やったー」

 背中合わせで浸かる俺ら。

 べ、別に「うわー姉さん柔らか、やばいやばいやばい」なんて考えてないんだからね!

「洸が今考えてること当ててあげる」

「結構です」

「やばー姉さんめっちゃやわらか!耐えろ!俺の理性!!でしょ?」

 なんでわかった?

 じゃないじゃないそうじゃない。

 違うぞ?これを読んでくれている神(読者様)

「そんなこと考えてないよ?うん考えてない」

「もういいんだよ、洸。私に全部預けて。そしたら気持ちよく」

 優しい女神のような声色で言う姉さん。

「ね?我慢しないで…」

 姉さんが振り返って抱き着いてくる。

 やっばい…胸の感触が…くっ!耐えろ!俺の理性!

「ちょ、ちょっと離れて姉さん」

 ごめんなさい神様。

 謝ります。

 俺クラスの友達と一緒にヤりてーとか言ってましたけど姉さんが初めてはちょっと……おい作者!!!俺の童貞が奪われそうなんだけど!?

「やだー…そういえば洸少し筋肉付いた?」

 そう言って俺の胸筋やら腹筋を触ってくる姉さん。

 痴女ですか?

 ってか割とくすぐったいからやめてくれ…。

「あの姉さん?触るのはちょっと…」

 セ〇クスまで行くとこの小説消されちゃいそうだからそれだけはやめてね?

 おいそこのこれを読んでる君!

 今絶対やれ!押し倒せ!とか思っただろ?

「いいじゃん別に。スキンシップスキンシップ」

「どうしたらやめてくださいますか?」

 これ以上行くとドキドキしすぎて俺の心臓が破れそう。

「じゃあ…うちょっとこのままでいて」

 え?

 なんかもっとキスしてーとか要求されるかと思ってたんだけど。

「まぁそれくらいなら……ってかなんで?」

「えー言わせるの」

「だってわからないし」

「もーしょうがないなー」

「何かごめん」

 謝りたくなったから謝る。

「だって、洸はクラスの友達とたくさん喋ったんでしょ?」

「まぁそうだな」

 それがどうかしたのか?

「その友達は洸とたくさん喋れてずるいから…その…私はその友達よりもっと喋りたいし、もっと関わりたいし……もっと一緒にいたいから……」

「なに姉さん嫉妬してるの?」

「うんしてるよ」

 そこはべ、別に嫉妬なんかしてないんだからね?って言うところだろ。

「はぁ…」

 俺はため息を吐く。

 そんで、

「たくさん喋れてずるい?俺一日の中で一番喋ってるの姉さんだよ?もっと関わりたい?俺生まれてから一番関わってるの姉さんだよ?あと…一緒にいたいだっけ?それは…その…俺も一緒だし………まぁ家族だから」

「え、洸ももっと一緒にいたいの?じゃあ…」

 姉さんの声が明るくなる。

「結婚はしないからな?」

「えーーー」

「えーじゃない…ってか熱いからもう出る」

「むう…まぁ許しましょう」

「ありがとうございますお姉さま」

 許されなかったら体中しわしわになって死ぬとこだったわ。

 出る前にシャワーを浴びる。

 最初の方は冷たい水が出たが熱くなった体にはちょうど良かった。

 

「うわーやばかったー」

 ドアを開けたと同時に俺の口からそんな言葉が漏れた。

「ん?なんか言った?」

 よかった。聞こえてなかったらしい。

「何でもない。お腹空いたなーって言っただけだよ」


 



 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る