第1話 えっと…俺ら姉弟だし……

 朝。

「あははは、今日はいい天気だなー」

 僕、姉崎洸あねさきこうは晴天の下、元気よく学校に登校していた。

 今日はいいことが起きそうな予感!

 毎朝テレビでやってる星座占いは一位だったし。

 そういえば身近な人との距離が縮まるんだってさ。


 


 あぁ土手沿いの桜並木がが綺麗だ。

 桜の下で元気よく咲いている花たちが僕のことを祝福しているみたいだ!

「今日は…」

「ん?どしたの姉さん?」

 僕の左側にいる、ここまで全くしゃべらなかった姉さんが口を開いた。

「えっと……いつもより元気そう」

 落ち着いた声で微笑みながら言う。

「うん、まぁそうだね!」

 姉さんの横顔を見ながら答えた。

「?……どうかした?」

 姉さんが僕の視線に気が付いてこっちを向く。

 それと同時に腰あたりまである綺麗な黒髪が揺れる。

「あ、いや何でもない…うん」

「ならいいんだけど…」

 僕らは顔を正面に向けて何も言わずに学校へと歩みを進める。

 さっき…僕がジッと見てた時に頬が赤くなってたのはなぜだろうか。

 ……まぁいいか。

 もう一度ちらっと横顔を見るといつもの無表情に戻っていた。

 あ、でもまだちょっと赤いかな…。

 って、お…僕なに姉さんの観察してるんだよ!

 キモ過ぎるわ!

 

 その後、何も話さずに歩いていると学校の校門が見えてきた。

 周りにも同じ制服を着た人たちが増えてきている。

 それと比例して、

「あ、結愛様ゆあが学校に登校しているわ!」

「おい、あそこにいるの結愛様じゃねーか」

「いつ見ても綺麗なお方」

「おい、誰か話しかけて来いよ!」

「いや、近くに弟がいるから駄目だ次の機会を」

「いつもそう言ってるよな」

 こんな言葉がたくさん聞こえてくる。

 あ、そうそう。

 姉さん姉崎結愛って言うの。

 学校ですごく人気なんだよなー。

「姉さん、じゃあ」

 いつも通り校門前で別れる。

 そんで「うん」って姉さんが返すのがいつも通りだ。

「うん…あ、まって洸」

 振り返って自分の下駄箱へ向かおうとしたら制服の袖をくいっと引かれ、その場に止まる。

「どうかした?」

 姉さんのほうを向き直す。

 僕の制服の袖をつかんだまま俯いている。

 どうかしたのかな。

「その…放課後……いや家で大事な話があるから…えっと…」

 とぎれとぎれ言う。

「一緒に帰るってこと?」

 姉さんは顔を上げ、笑顔で頷く。

 わかってもらえて嬉しいようだ。

「了解。じゃあ放課後ここに集合ね」

「わかった」

 そう言って姉さんは3年の下駄箱のほうへ歩いて行った。

 姉さんの後ろ姿を少し見つめる。

 その背中が見えなくなってから僕も1年の下駄箱へ歩き出した。

 大事な話って何だろう。

 まぁこの小説のジャンルラブコメだからそういうことなのかな。



 

 夕方。

「あーだるかった」

 小さな声で呟く。

 特に五時限目の国語総合。

 春でポカポカあったかいし、お弁当を食べたばかりだからほんとに眠かった。

 ってかほとんど寝てた。

 まぁ周りのクラスメイト達も眠気と戦ってたし。

 僕は机に突っ伏して姉さんが朝言っていた『大事な話』について考える。

「じゃあな、洸!」

 クラスメイトの一人が僕の背中を軽くたたきながら言う。

「うんじゃあね!」

 体を起こす。

 クラスにはもう俺しか残っていなかった。

「僕も帰りますか」

 制服のネクタイを緩ませてから机の横に掛かっている鞄を持ち教室を出る。

 そして気づく。

「やべ、姉さんと一緒に帰るんだった」

 いつもより早く歩く。

 教室を出てすぐ、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

「私ならここ」

 その声を聞いて立ち止まり声のするほうへ視線を向けると

「あれ、集合場所うちの教室だっけ」

「違う」

 姉さんの方へと戻る。

「全然来ないから見に来た」

「それはごめん!」

「ゆるさない」

「ゆるしてください」

「ゆるさない」

「ゆるしてください」

「ゆるさない」

「これいつまで続くの?」

「ママ帰ってくる前に早く帰ろ」

「なんで母さんが帰ってくるまでに帰るの?」

「……それはひみつ」

「ああ、そう」


 朝登校した道を歩いて帰る。

 いつも通りだ。

 でも、

「あの、姉さん?」

「どうしたの?」

 僕は姉さんと僕の間の距離を測る。

 朝は7㎝くらい離れてたんだけど…今は…。

「近すぎない?」

 僕の右腕と姉さんの左腕が密着していた。

「………そうかな?」

「うん」

 僕がそう言うと姉さんは朝の時と同じくらい離れた。

 なんか寂しい。

 

 時刻は5時30すぎ

 家に帰って来た。

 靴を脱いで、荷物をいったんリビングに置き手洗いうがい。

 それを済ませてから、

「洸、私の部屋、来て」

「え?あーうん」

 姉さんの部屋で話すって…どんだけ機密な情報を教えてくれるんだ?

 この小説実は姉さんが魔法少女で魔王を倒すために頑張るお話にならないよな?

 

 階段を上って僕らの部屋とかがある二階に到着。

 いったん僕は自分の部屋に荷物を置いて、姉さんの部屋に行く。

 コンコン、とノックをしてから「はいって」と言われたので少し緊張しながら入る。

 姉さんはまだ制服でベッドに腰かけていた。

 そんで姉さんから見て左側のところをポンポンと軽く叩いている。

 座れってことか。

 それにしても…なんかいいにおいするな。

 あー緊張するんだけど。

 姉さんの隣に座る。

「で、話とは?」

「………えっと…その…あの…」

 もじもじしてる。

「………」

「その…………」

 そんなに恥ずかしいことなのか。

「自分のペースでいいよ」

「うん」

 姉さんは一回深呼吸をして、

「話すね」

「うん」

 真剣な顔になった。

「大事な話っていうのは…」

「いうのは?」

 私実は魔法少女なの!みたいなこと言ったらこの部屋から出てく。

「……その……………です」

「ん?悪い」

「えっと…………が…です」

「ごめん。何が何です?」

「だからー…もう耳貸して」

 そう言って姉さんは体を近づけ、耳打ちする

 そして、

「私、洸のことが好き」

「え?」

「洸の事が好き」

「なっ!」

 その言葉に驚きすぎてその体制のまま固まってしまう。

 星座占いの身近な人の距離が近くなるってそういうことだったのか。

 数秒遅れて

「ええええええええええ!!?」

 僕の叫び声が姉さんの部屋に響いた。

「…………」

 顔を真っ赤にして俯いてしまった姉さん。

「え、姉さん?」

「はい」

「俺のことが好き?」

 あ、やっべ。

 驚きすぎて本性出ちゃった。

 ん?どういうことかって?

 最初の方で読者さんに良い子アピールしとかないと途中で嫌われちゃうじゃん!

 だからさっきまで『僕』って一人称でやってたわけ。

 わかる?

 でもばれちゃったならしょうがない。

 いつもの『俺』でいくか。

 

「うん…好き。洸の事ずっと前から好き」

 上目づかいで言われるのすげードキドキするんだけど。

「本当に?冗談?ドッキリ?」

 ドッキリ番組とかよく見るからちょっと疑っちゃうんだよね。

 TBSのさーあるやん。

 最近見てないけど。

「本当」

「えっと…俺ら姉弟だし……そのー」

「?」

 首をかしげながら何言ってるかわからないって顔でこちらを見てくる。

 そんで、

「!?」

 俺の右腕に抱き着いてくる。

 姉さんの小さな体に似合わない主張が強い胸が当たって、もっと緊張してしまい体が固まってしまう。

 うわ、すげー柔らかい。

 って俺のバカ!

 なにがすげー柔らかいだよ!

「ちょっと姉さん」

「どうしたの?」

「顔が、近い」

 今度は姉さんの吐息が顔に直接当たっちゃって…心臓が早鐘売ってる。

「キスしていい?」

「突然すぎる!?姉弟でそれはだめでしょ」

「むう」

 ぷくぅ、と頬を膨らませる。

「いや頬膨らませてもだめだから」

「あっ!」

「今度は何!?」

 何を思いついたのかな?

「帰るとき、来るのが遅かった」

「はい」

 すみません、と頭を下げようとするが、姉さんの顔が近すぎて下げられない。

「私まだ洸の事ゆるしてない」

「まさか…」

「頭なでなでしてくれたらゆるしてあげる」

「ゆるさなくてもいいので帰らせt」

 俺が立ち上がってドアのほうに向かおうとすると、姉さんが両手で俺の手を握ってきた。

「かえっちゃ、だめなの」

 潤んだ目で俺のことを見ないでぇ!

 俺の手を引っ張りまたもとの位置に座らされる。

「私今日頑張ったからごほうびちょうだい」

「どっちが年上なんだか…」

「あ、ちょうあいでもいいよ?」

 それは無視する。

 ん、ん、といいながらなでなでを催促される。

 改めて見るとほんとに髪綺麗だな。

 しょうがない。

 俺は姉さんの頭に右手をのせてゆっくり撫でる。

「えへへへ」

「これでいい?」

「やだ」

 俺が手を離そうとするとその手をつかんで、

「洸に撫でられるの気持ちいから…」

「もっとナデナデしてほしいな」

「ッ!……わーったよ」

 撫でるのを再開すると、目を瞑って気持ちよさそうにする。

 その顔が可愛すぎて体に悪い。

 緊張しすぎてもう何分経ったかわからない。

 多分1分以上はやったと思う。

「もう、いいだろ?」

「うんありがと」

 俺は立ち上がってドアへと向かう。

 ドアを開けた時、

「またやってね♡」

 笑顔で言う。

「もうやらないよ!」

 ドアを静かに閉じて自室に急いで入った。


 そんでベッドにダイブ。

「あー恥ずかしかった」

 姉さんってこんなに可愛かったっけ?

 まだ顔が熱い。

 落ち着け。

 落ち着け俺。

 相手は実の姉だぞ?

 なんでこんなドキドキしてんだよ!!



 

 



 

 

 

 

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