新たな魔物症候群
「検査?」
「はい。言ったはずですよ」
翌日、オカルト研究部を訪れたところ、犀川がいなかったので、理由を尋ねたところ……。
どうやら、今日は病院で、検査があるらしい。
「なになに? 私の可愛い~後輩くんの、武藤歩夢くんは、犀川直美ちゃんがいないと、オカルト研究部の活動の、モチベーションが上がらないって?」
「そんなこと、一言も言ってませんけど」
「うっそだぁ。眉毛がショボーンってなってたぞ?」
「なってません」
俺は眉毛を、自らの手で持ち上げた。
「あはは! 見てよフミちゃん! アホみたいな顔!」
「朝から元気ですね……」
文月先生が、ため息をついた。
「……ゴホンッ。で、歩夢。昨日はどうだったの?」
「昨日、ですか」
「うんうん」
興味津々といった様子で、モモ先輩が聞いてきた。
「正直言って……。あまり結果は出せませんでした」
「えぇ~? あんなにアシストしてあげたのに」
「アシスト?」
「そうそう。プリンをバンバン食べさせることで、プリン専門店に行きたくなるように、仕向けるっていうね」
「作戦だったんですか……」
「まっ、可愛い後輩のためだし?」
「モモ先輩……」
「しかし、結果がそれでは、どうしようもないですね」
バッサリと、文月先生に切り捨てられてしまった。
「いいですか武藤くん。犀川さんの、最大限の信頼を引き出すことができれば、いずれ薬を飲まずとも生活できるようになります。来年には……。……いえ。早ければ、年内には、完治している可能性すらあるんです。ちゃんと努力してますか? 考えて行動していますか? 彼女との仲を深めようという、自分の好意が先行して、彼女を困らせているのでは?」
「ちょ、ちょっとフミちゃん……。歩夢は、童貞の割に、頑張ってるよ?」
「ありがとうございます。モモ先輩」
童貞は余計だけどな。
「そもそもフミちゃん。また自分が合コンでしくじったからって、その恨みを歩夢にぶつけるのはやめようよ」
「……文月先生、合コン行ってるんですか?」
「悪いですか? 私だって、もう二十八歳です。彼氏の一人や二人、欲しい年ごろですよ」
「二人はダメでしょう……」
なんて、雑談をしていたところ。
勢いよく、ドアが開き……。
空中に、白い羽が舞った。
そこに立っていたのは……。
――天使。
「おっはようございまぁ~す! オカルト研究部って、ここですか~? 私、一年C組の、
……今日も、慌ただしい一日になりそうだ。
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