第372話 通信装置

「さてと、ここの石板をいじって・・・

このツマミを回して、ここをオンにして・・・」

「お前何やってるの?」

「ヒロキごめん、今は時間が無い。説明出来ない。」

俺は次々と起動に必要な手順を行っていく。


「なあ、ヒロキ、リョウさんは何をしているんだ?」

アベルはヒロキに質問するが・・・

「わからん、だがアイツが無駄な事をしてるとは思えないし、様子を見てみようか・・・」


暫くして・・・

俺は石板に手を置いた。

「よし!起動成功!何とか大事な部分は壊れて無かったみたいだな。」

「それで、これは?」

「通信装置、今ならクフ王のピラミッドとも交信出来るよ。」

「へっ?そんな事が出来るのか?」

「ピラミッドの奥にある設備に誰かいたら話せると思うけど・・・

もしもーし、誰かいませんか?」

返信を待って見るが応答はなかった。


この時クフ王のピラミッドは青く輝いており、天変地異の前触れで無いかと大混乱が起きていたが、リョウ達は知らなかった。


「誰もいないのかな?」

「それより、空に通信出来るって話はどうなんだ?」

「やってみる?」


「おう!」

ヒロキの言葉に空に向け通信を放つ。

「もしもーし、誰かいませんか?」

ガーーー、

ピィーーー、

ガチャ!

「₥฿¥₣₢₡£₢₣ ₩₧₣₪€₯₭ ₯₮₠₤₠₪₨₭₣₡」

女性っぽい声が聞こえるが何を言っているかわからなかった。

「何言ってるかわからん、日本語で頼む!」

すると男性の声が聞こえてくる。

「₩₹₳₶・・・聞こえますか?」


「おー繋がった、聞こえてるよ。」


「何でエデンから通信が届いているのだ?そこはもう死滅した大地の筈・・・」

「失礼な事を言うなよ、この通り生きている、それより君は何処の人だ?」

「その星より遠く離れた所にすむ、種を同じとする民族だ。」

「この星に何かあったのか?」

「遠い昔、我等の故郷であるその星は大洪水が起こり、我等はその星から脱出した一族と伝わっている。」

「それで俺達は?」

「その星に残る事を選んだ末裔だ、しかし、長きに渡り通信も途絶え、滅んだかと思っていたが・・・」

「ふーん、まあ同じ民族かどうかはわかんないけどな、こちらには伝承も残されていないから。」

「いや、その設備を使える以上、少なからず我等の血が入っている筈だ、遠き昔に別れた同胞の連絡、我が一族、いや、ヤオヨロズを代表して、このスサノオが祝福したい、貴殿の名は?」

「俺は桐谷リョウだ、はからずも連絡が取れた事を嬉しく思うよ。」

「貴殿の名を我等の世に広めたいが構わないだろうか?」

「いいよ、出来れば末長い友好を願いたい。」

「もちろんだ、このスサノオ、元帥の名において貴殿の身、いや、貴殿の同胞の身の安全を約束しよう!」

「ありがたい、こちらも貴方の名前を・・・」

そこで通信が切れた、

「ありゃ、燃料が切れた、仕方ないね。」


俺が振り返ると口を開けたまま固まっている、ヒロキとアベルがいた。

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