第366話 パーティー4

失意の中、松田は運び出された。

そして、平穏が戻るが、

「リョウ、凄いよ!」

ノアがキラキラした目で見てくる。

「ノア、どうしたの?」

「だって、あんなに傲慢に言ってた男を撃退したんだよ!」

「あれぐらい何て事はないよ、それにレーアさんは友達のお嫁さんだし、妹の友達だからね。」


「リョウ!まだお嫁さんじゃないと言っているだろ?」

「ヒロキ、今さらだよね。

俺達に構わず、二人の世界を作ってもいいんだよ?」

「こんな人前で作れるか!」

「人前じゃないと作るんだぁ~」

「てめぇからかってるな!」

「もちろん♪」

ヒロキは俺に食って掛かる。


「リョウさん、ありがとうございます。

お陰さまで助かりました。」

「いいよ、ヒロキのお嫁さんなら俺にとっても身内だしね、気にする事は無いよ。」

レーアは丁寧に御礼を言ってくる。


ノアが俺の袖をひいて話しかけてくる。

「ねえ、リョウ、お父様にあって貰えないかな?」

「お父さんに?いいけどどうしたの?」

「実は日本の企業に手助けして貰いたい話があると言っていたのだけど、リョウなら何とか出来ないかなと思って・・・」

ノアは言いにくそうに言ってくる。

まあ、友人に成り立てでもあるし、遠慮はあるか、俺はそう思い、

「友達の親に会うぐらいどうってことは無いよ、会いに行こうか。」

「うん♪」

「じゃあ、俺は行くからヒロキ、レーアさんとお幸せに♪」

「からかって無いでさっさといけ!」

俺はヒロキをからかいつつ、ノアの父親の所に向かう。


「お父様!」

ノアが声をかけた相手に会釈をする。


「ノアかい、どうした?」

「お父様に友達を紹介したくて来ました。」

「えーと、ノアの友達になりました、桐谷リョウです。以後お見知りおきを。」

「桐谷リョウ・・・源グループの若か!」

「ええ、そう呼ばれてますね。」

「私はノアの父親のシモンと言います。」

俺達は互いに挨拶をかわす。


「シモンさんですね、それで日本企業を探していると聞きましたが?」


「ノアはそこまで話したのですね。

実は私の国では新型ウイルスのワクチンが入手出来ていないのです。

そこで日本企業が開発したというワクチンを輸入出来ないかと取引先を探しているのですが、個数制限があるようで、どこも承諾して貰えなくて。

桐谷さん、どうか源グループに働きかけて貰えないでしょうか?」

「あーあれですか、ちょっと待ってください、確認してみますから。」


俺は望月研究所に電話をかける、

そして、確認したところ、国内はだいぶ回ったので、数に余裕が出来てきたと聞く、

そこで月百万程

回して貰う手筈を整えた。


「シモンさん、月に百万程御用意出来ますよ。」

「えっ?」

「ですから月に百万です。支払いとかは望月研究所に確認してください。」

「そ、そんなに簡単に手配が出来るのかい!」

「知り合いの研究所ですからね、それに影響力も少しはあると思ってますし。」

「ありがとう!助かる!」

シモンは手を取り喜んでくる。

「御礼はノアにお願いします、俺が手を貸すのは友達のノアの為ですからね。」

「ノアが!よくやったなノア!」

シモンはノアを抱き締め、喜ぶ。

「お父様、恥ずかしいです!」

「ははは、照れるなよ!」

親子の喜びを見ていると・・・


「リョウ、どこに行ってたのかな?」

アズサが少し怒り気味にやってきた。

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