第343話 海女さん視察
兄貴と会社にいった翌日、俺は別の場所にも視察に行く。
行き先は・・・
「お兄ちゃん、三重の海岸に来てなにするの?」
「源グループに所属してる海女さんがいるみたいなんだよ。」
「海女さん?」
「海に潜って貝とかをとってくるお仕事をしている人だよ。」
「リナも潜るの?」
「うーん、俺はやってみるけど、リナもやってみる?」
「うん♪」
俺はミズホとリナの三人で三重の海岸に来ていた。
ちなみにアキラくんとマイちゃんは学校の為に来てなかった。(本人は来たがっていた。)
「ミズホは潜る?」
「うーん、やってみようかな?」
海女小屋につくと
二十代後半ぐらいの女性が挨拶にくる。
「若様、本日はお越しいただき光栄にございます。本日の案内を努めます、滝川マスと申します。よろしくお願い致します。」
「こちらこそよろしくお願いします。俺は桐谷リョウです。此方は・・・」
「桐谷ミズホです。」
「桐谷リナだよ。」
「リナなんで桐谷?」
「お兄ちゃんの妹だから。」
「・・・まあ、いいか。本日は三人よろしくお願いします。」
俺達は着替えをして海に向かう。
「ここで皆さんに潜っていただきます。決して無理はなさらず、苦しくなったら上がってください。」
「あーみんな気をつけて、一応、安全には気を使ってるけど、無理はしないように。」
「あの、私達も気はつけてますが、若様はいったい何を?」
「あー周囲にイルカを配置してますから流されるとかはないようにしてますよ。」
「イルカ?配置?」
「まあまあ、潜りましょう。」
俺達は潜りを開始する。
流石に海女さんご推薦の場所、アワビやサザエが結構あった。
それを俺達は取りながら泳いでいた。
海面、海女さん達
「若様が上がって来てない、潜って何分たってる?」
「妹さんと一緒に既に五分は・・・」
「ねぇ、溺れてないかな?」
「それが・・・さっき見た限り普通に泳いでました。」
「えっ、五分過ぎてるのに?」
「それどころか、移動にイルカに捕まってました。」
海面にいたミズホは、
「すいません、リョウ兄が非常識で。たぶん溺れる事はないですから心配しないでください。」
ミズホが周りに説明するなか、俺とリナは浮上する。
「あれ?どうしたの?」
「リョウ兄、大丈夫?」
「何が?」
「潜りすぎだよ、息続くの?」
「まだ大丈夫だったけど、袋が一杯になったから上がってきたよ。」
俺は袋を見せる。
「あれ、リョウ兄立泳ぎしてないよね?」
「ああ、イーちゃんが乗せてくれてるからね。リナはルーちゃんに乗ってるよ。」
「えっ?」
「イーちゃん挨拶して。」
俺がいうと足元からイルカが顔を出す。
「キュー♪」
「なに、可愛い!」
「ミズホも乗る?」
「私でも乗れるの?」
「大丈夫、コイツらちゃんと乗せてくれるよ、カーちゃんおいで。」
もう一匹イルカがやってくる。
「カーちゃんミズホの世話を任したよ。」
「キュー」
カーちゃんはヒレをパタパタさせて承諾を示す。
「じゃあ、ちょっと袋を置いて来るよ。ミズホはカーちゃんと続けてて。」
俺は陸に袋を運ぶ。
「陸に上がると重いな。」
「若様、御無事ですか。」
「あー大丈夫だよ、はい、これ引き揚げた物。なかなか楽しいね。」
袋の量を見て、マスの顔はひきつる。
「す、すごい量ですね。こんなの初めてです。」
「楽しくてついね。これみんなで食べてよ。」
「よろしいのですか?」
「うん、そうだ、リナの分も合わせてみんなでお昼に食べよう。」
「若様も御一緒にお食べになるのですか?」
「もちろん、のけ者はやめてくれよ。」
「そうじゃありません、いいのですか?私達のような下々の者と。」
「下々って、そんなこと言ったら俺も同じだよ、別に名家というわけでもないし。」
「こ、光栄にございます。」
「じゃあ、集まれる人集めて料理の準備よろしく、俺はもう少し潜って食材集めてくるよ。」
「私達も!」
「大丈夫、せっかくだから、食材は俺が用意するよ。楽しみにしておいて♪」
俺は再度海に出る。
「さて、イーちゃん食材集め頑張ろうか。」
「キュー!」
俺はイーちゃんと途中合流したシャチのシーちゃんと一緒に食材集めに奔走する。
11時に陸に上がった。
「大量大量♪」
「お兄ちゃん集めたね。」
「リナも袋の一杯になってるね。」
「頑張ったよ。」
「ミズホは・・・」
ミズホはあまり取れていなかった。
「しかたないでしょ、始めてだったんだから、なんでみんなわかるの?」
「そりゃ見たら一目でわかるだろ?」
「普通はわからないからね。」
「若様、これは・・・」
マスさんは固まっていた。
「海の幸だよ。」
「それはわかるのですが・・・」
そこにはアワビ、サザエはもちろん、伊勢海老、真鯛、真蛸、スズキ、カンパチ、そして、極めつけはマグロであった。
「頑張りました。」
「いやいや、潜ってとってくる物じゃないですよ!」
「いや~シーちゃんが頑張ってくれたからね。マグロなんて沢山取れそうだったけど一匹に押さえたんだ。」
「沢山取れるのですか?」
「シーちゃんが仲間と追い込みしてたから、1番大きいのを仕止めてもらったよ。」
「あの~若様は本職は漁師ですか?」
「いや、サラリーマンだよ。」
「絶対間違ってますよ、泳いだだけで漁船でとってくるような内容になってますよ!」
「やだな~サンマとか小さい魚は苦手だよ。ついイーちゃんやシーちゃんが食べちゃうしね。」
「そんな問題じゃないですよ。」
「まあむあ、そんな事より料理にしよう。みんな集まってる?」
「休みの海女さん達も集まりましたけど良かったですか?」
「いいよ、みんなで食べよ♪」
俺達はみんなで調理を開始する。
マグロの調理は流石に苦戦したが女性が多い職場、調理はみんなお手の物だった。
「さて、みんな食べようか。」
豪華な昼食が完成した中、招からざる客がやってくる。
「いや~豪勢な昼食ですなぁ、海女というのはこうも儲かるものなのですかな?」
それは三重の県議、安藤アツミだった。
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